アルバータ州の卒業要件を簡単に説明
アルバータ州の高校を卒業するために必要な単位数や教育制度についてご紹介します。アルバータ州の高校を卒業するためには高校1年生から3年生(Grade 10 - 12)で合計で100単位を取得する必要があります。単位を取得するとはどういうことか?と言うと、簡単に言うと、受講する科目を50%以上の成績で修了すれば単位が取得できます。成績は普段の授業態度、出席、宿題・課題の提出、そして試験の点数から付けられます。この中でも課題の提出はとても大切です。
アルバータ州では1科目を修了すると3-5単位の取得になります。英語、数学、理科、社会などの主要科目は取得単位数が5の科目になります。選択科目、例えばダンスやヨガなどは取得単位数3の科目になります。
学年度のはじめに自分が受講する科目を選択します。
1学期(5ヶ月間)に受講できる科目数が4-6科目になりますので、単位数が大体20から25単位になります。つまり、卒業に必要な単数数が100と言うことですので、急いで受講しても5学期(つまり2年半)、英語力を上げながらじっくり学ぶと6学期(つまり3年間)掛かると思って頂ければと思います。課題の提出をせず50%の成績が取れてないとF(Failure)という落第という成績が付き単位がもらえません。5ヶ月かけて受けた科目が受けてないことと同じになりますので注意してくださいね。
アルバータ州・1年間で受講できる科目数
アルバータ州の公立高校のほとんどはセメスター式です。セメスター式とは、1年間が前期(5ヶ月)と後期(5ヶ月)の2学期に分かれています。教育委員会や学校にもよりますが、各学期4-6科目ずつ受講します。
前期 | 後期 |
9月から1月 | 2月から6月 |
4-6科目 | 4-6科目 |
20-25単位 | 20-25単位 |
つまり年間8-12科目・約40-50単位取得可能になります。卒業目的で3年間通学する方は、24-36科目(120-150単位)を取得することができます。この基礎知識を踏まえた上で、アルバータ州の卒業要件をご紹介します。
アルバータ州卒業要件
アルバータ州の高校を卒業するためには、
高校1年生から3年生までで100単位を取得する必要があります。その100単位の内に以下の科目の単位を含んでいる必要があります。
卒業要件内訳条件1
- English 30-1 or 30-2 (単位数: 5)
- Social Studies 30-1 or 30-2(単位数: 5)
- Mathematics 20-1 or 20-2 or 20-3(単位数: 5)
- Science 20 or 24 or Biology 20 or Chemistry 20 or Physics 20(単位数: 5)
- Physical Education 10(単位数: 5)
- Career and Life Management(CALM)(単位数: 3)
アルバータ州では他の州のように、English 10, English 11, English 12 のように学年で言うのではなく、10, 20, 30 とレベル分されています。基本的にはただ言い方が違うと思って頂いて大丈夫です。
- 10 = 10年生・高校1年生
- 20 = 11年生・高校2年生
- 30 = 12年生・高校3年生
また、学年の横についている、-1, -2, -3 とさらにレベル分がついています。同じ学年の同じ科目でも難易度でレベル分けされています。読み方は、
-1 ダッシュワン、 -2 ダッシュツー、-3 ダッシュスリーと読みます。
幾つかの読み方の例:
- English 10-1 (イングリッシュ・テン・ダッシュワン)
- Science 11-2 (サイエンス・イレブン・ダッシュツー)
- Physical Education 10 (フィジカル・エジュケーション・テン)
上記の条件1を見ると、英語と社会は高校3年生レベル、数学と理科は2年生レベル、体育は1年生レベルまでが卒業要件になります。
科目の難易度レベルは卒業後の進学に重要です。
アルバータ州の高校を卒業するためには、英語は30-1または30-2を取得すれば条件をクリアしたことになりますが、カナダの大学へ入学するためには、30-1を修了している必要があります。カナダのカレッジに入学するためには、30-2でも大丈夫ですが、成績が65%以上という条件がついているカレッジもあります。高校留学後に日本へ帰国する方は、30-2でも卒業になりますので、日本の大学の入学基準を満たす場合が多いようです。これは進学を希望する日本の大学の帰国子女枠の募集要項を調べてください。
最低限の基準のお話です
この記事でご紹介しているのは、アルバータ州の高校を卒業するための最低条件になります。もちろん、数学も理科も高校3年生レベルの科目がありますし、体育も高校2年生、3年生の科目があり受講できます。日本、カナダ、そしてその他のどこの国の大学へ進学するにしろ、大学が求める「高校生で修了しているべき科目」が大学、学部、プログラムごとにあります。
卒業要件内訳条件2
さらに卒業要件はあります。以下のカテゴリーの中から10単位を取得していること。つまり2-3科目を修了していること。
- Career and Technology Studies (CTS)
- Fine Arts
- Second Languages
- Physical Education 20 and/or 30
- Registered Apprenticeship Program(RAP) courses
- Knowledge and Employabilitiy Courses
- Locally developed Courses
留学生にとって関係のあるカテゴリーについて以下に説明しますね。
Career and Technology Studies (CTS)とは?
CTSは職業訓練、つまり将来社会にでて必要になるスキルを学ぶことが出来る科目です。CTSに分類される科目は以下のようなものがあります。どれも日本の高校ではなかなか受講できない科目ですね。
- Auto/Weld
- Automotives
- Business
- Carpentry
- Computer Science
- Robotics
- Cosmetology
- Digital Arts
- Fashion
- Foods
- Networking
- Welding
などなど。これは教育委員会や学校によって少しずつ変わってきます。
Fine Artsとは?
Fine Artsは、美術や音楽、演劇などの科目です。以下のようなものがあります。
- Art
- Band (Instrumental Music)
- Choral Music
- Creative Writing
- Dance
- Guitar/Rock Band
- Theater Production
Second Languages とは?
Second Languagesは第二言語です。皆さんにとって英語が第二言語なので、さらに3つ目の言語を学ぶのは大変かもしれませんが、フランス語やスペイン語に興味がある方もいらっしゃると思います。どの言語の科目を提供しているかは教育委員会・学校によります。主な言語としては、以下のような科目があります。
- フランス語
- スペイン語
- 日本語
Physical Education 20 or/and 30とは?
高校2年生、3年生のPhysical Education(体育)です。
Locally Developed Coursesとは?
こちらのコースは各教育委員会が、その地域の特性などを活かして独自に開発したコースになります。例えば、その地域が大自然の中に位置する学校だとすると、アウトドア教育のように自然の中で環境問題や動物保護について学ぶという独自の科目を用意している場合はこれに該当します。
以上のカテゴリーの中から2−3つの科目を選択して修了する必要があります。
卒業要件内訳条件3
上記の条件1と2に加えて、高校3年生レベル(30 - )の科目を10単位・つまり2科目修了していること。(高校3年生レベルの卒業要件科目の英語と社会とは別の2科目です)条件1 でご紹介した卒業要件の高校3年生レベルの条件は英語と社会だけになりますが、流石に高校3年生の科目が英語と国語だけしか受けない生徒が出るのもいけないので、高校3年生レベルの科目で10単位取得が条件になっています。
- 30-Level Locally Developed Courses
- Advanced level (3000 series) in CTS courses
- 30-level Work Experience Courses
- 30-level Knowledge and Employability courses
- 30-level Registered Apprenticeship Program (RAP)
- 30-level Green Certificate Specialization courses
- Special Projects 30
学校で提供されている科目のほとんどが上記の中に当てはまりますので、高校3年生で選択できる科目を2つ受講して修了すれば卒業条件クリアになります。
ディプロマ試験について
アルバータ州は高校3年生で以下の科目を受講する生徒は学期の最後にディプロマ試験を受ける必要があります。
- Biology 30 生物
- Chemistry 30 化学
- English Language Art 30-1 英語
- English Language Art 30-2 英語
- Français 30–1 フランス語
- French Language Arts 30–1 フランス語
- Mathematics 30–1 数学
- Mathematics 30–2 数学
- Physics 30 物理
- Science 30 理科
- Social Studies 30–1 社会
- Social Studies 30–2 社会
アルバータ州卒業の最低基準の中に、英語30-1 or 30-2 と 社会30-1 or 30- 2があるので、全ての生徒が少なくとも英語と社会のディプロマ試験を受けることになります。このディプロマ試験のある高校3年生の科目で50%の成績を取るためには、普段の授業での成績とディプロマ試験の点数の両方から判定されます。その割合は、70%:30%になります。5ヶ月間授業を受けて、課題を提出して得た点数が7割、ディプロマ試験の点数の割合が3割で、その合計が50%以上であれば単位取得になります。具体的な数字で説明しますね。
高校3年生のディプロマ科目の点数計算方法
学校の成績 60点 (100点中) &ディプロマの成績 30点 (100点中) の場合は、学校の成績が70%の中の60点なので42点、ディプロマ試験の成績が30%の中の30点なので、9点、両方を足すと51点で50点を超えるので単位取得になります。
極端なことを言うと、普段の授業にしっかり出席して、課題も提出し、定期試験でも良い点数をとり、90点があったとすると、70%に換算した時点ですでに50パーセントを超えますので、試験さえ受ければ単位は取得になります。
ディプロマ試験を恐れすぎないで
卒業留学を目指す方のカウンセリングをしていると、アルバータ州は教育水準が高くて難しい卒業試験があるからやめておきますと言う話を聞きます。とてももったいない話です。アルバータ州の教育システムが充実していて基準が高いというのは事実です。アルバータ州がカナダの中で最も一人当たりの学生に投資するお金が大きいです。学校の設備も整っていて校舎も綺麗です。先生のお給料も高いですし、安定した仕事ですから、先生になる方の学歴や人格もしっかりしていると言われています。他の州で聞くような教育委員会の先生たちがストライキを起こし学校が閉校になるということもありません。実際にアルバータ州の高校を卒業した留学生の方もたくさんいます。ディプロマ試験も普段の授業をしっかり受けていれば、きちんと点数が取れるはずです。
留学エージェントとして、質の高い教育が受けられる場所があるのに、その教育システムについて間違った情報のために候補から外してしまうということがなければ良いなという想いで今回の記事を作成しました。今後もさらに詳しくアルバータ州、そして他の州も含めて、教育システム・卒業要件について詳しくご紹介して、「卒業までに何を頑張ればいいのか」を明確にして、留学生の皆さんに頑張って頂き、保護者の皆さんに安心して頂ければと思います。
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