留学プランニング

【カナダ】日本人が少ない留学先はどこ?「選べる州・選べない州」と後悔しない選び方

水谷通孝

カナダ・ウィニペグ在住。カナダ高校留学エージェントとして20年以上の実績を持ち、自身の3人の子どもたちもカナダの学校に通っています。現地在住の立場から、費用・学校・生活の最新情報を直接お伝えします。

「日本人が少ない環境で留学させたい」——これは、カナダ高校留学のご相談で最も多くいただく希望のひとつです。せっかく海外に出すのだから、日本語に頼らず英語漬けの毎日を送ってほしい。日本人同士でかたまって、結局あまり英語が伸びずに帰ってきた、という話を聞くと不安になる。とてもよく分かるお気持ちです。

ただ、20年この仕事をしてきて、そして2025年にカナダへ移住し、いま現地で各教育委員会と直接やり取りをしている立場から、正直にお伝えしたいことがあります。「日本人が少ない」だけを基準に選ぶと、かえって失敗することがあるのです。

この記事では、(1) カナダで実際に日本人が少ない地域はどこか、(2) その前に必ず知っておいてほしい2つの落とし穴、(3) あなたのお子さんに本当に合うかの見極め方を、現地から正直にお話しします。特定の学校を売るための記事ではありません。お子さんに合う場所を一緒に見つけるための、判断材料としてお読みください。

「日本人が少ない場所」を探す前に、知ってほしい2つのこと

「どこが少ないか」をお伝えする前に、先にお話ししておかなければならないことが2つあります。ここを飛ばすと、地域選びそのものを間違えてしまうからです。

① 州によっては、住む場所を「選べない」

意外に知られていませんが、カナダには留学生側が学校や町を指定できない州があります。代表的なのがノバスコシア州とニューブランズウィック州です。

たとえばノバスコシア州は、州全体でひとつの大きなプログラムとして運営されていて、配属先は州が「配置の基準」に沿って決めます。地域の変更は2年目からしか申請できず、2年目もどこになるかは希望は出せません。つまり、「日本人が少ない町を狙う」という調整そのものができないのです。

私自身、カナダ語学留学はノバスコシア州のハリファックスから始まりました。思い入れのある州です。だからこそ正直に言えます——「日本人を避けたい」という希望が最優先なら、この2州は向きません。少ないか多いかが、最初から運任せになってしまうからです。逆に言えば、配属先を自分たちで選べる州を選ぶことが、「日本人が少ない環境」を実現する大前提になります。もちろん結果的に日本人のいない環境になることはあり得ますが、それは希望が通ったのではなく運が味方したということになります。

② 日本人が少ない場所は、英語サポートも手薄になりやすい

これがいちばん大切で、いちばん見落とされる事実です。

考えてみてください。日本人が少ない場所は、そもそも留学生全体が少ない場所です。留学生が少なければ、留学生向けの英語サポート(ESL)を手厚く用意する理由も小さくなります。つまり、「日本人が少ない」と「英語サポートが充実している」は、多くの場合トレードオフの関係にあるのです。

ここから導かれる結論は、聞いて楽しい話ではないかもしれません。英語にまだ自信のないお子さんが、いきなり「日本人が少ない場所」を選ぶのは、最も危険な組み合わせです。日本人もいない、英語の支えもない——孤立し、授業にもついていけず、自信を失って帰ってくる。これは、私が最も避けたい結末です。

だから「どこが少ないか」を考える前に、まず「うちの子の英語レベルで、支えのない環境に耐えられるか」を冷静に見てください。

カナダで実際に日本人が少ない留学先【地域タイプ別】

その上で、本題です。配属先を選べる州の中で、日本人が少ない留学先を地域のタイプ別に整理します。

ひとつお断りしておきます。ここでは具体的な学校名や「今の日本人の人数」は出しません。人数は毎年変わりますし、こうした情報は公開した瞬間から状況が動いてしまうからです。今この瞬間に、どの地域・どの学校に日本人がどれくらいいるかは、私が個別に確認してお伝えします。ここでは「地域のタイプ」として、考え方をお伝えします。皮肉なことになりますが、この記事をご覧頂いて、日本人が少ないところをご紹介するたびに、少しずつ日本人が少ない場所が減っていきます。

タイプ1:都市の便利さ × 日本人が少ない × 費用も抑えめ(最初におすすめ)

「日本人は少ないほうがいい。でも、あまりに不便な田舎は心配」——多くのご家庭にとって、いちばん現実的なのがこのタイプです。代表格がマニトバ州のウィニペグです。

ウィニペグは州都でありながら、都市部としては日本人がとても少ない街です。それでいて、学費も生活費も大都市に比べて抑えめ。都市なので交通も買い物も不自由しません。さらにマニトバ州には、英語がまだ発展途上でも各教科の単位を取りながら英語を伸ばせるE-Designationという独自の仕組みが州全体にあります。「日本人が少ないのに、英語の安全網もある」という、先ほどのトレードオフをやわらげられる数少ない選択肢です。ただE-Designationがあるため、留学生向けのESLだけのクラスは少ない学校も多いです。

正直に申し上げると、私自身が家族でウィニペグに暮らし、子どもたちも現地の学校に通っています。だからこそ、机上ではなく生活者として、この街の良さも注意点もお伝えできます。

タイプ2:もともと留学生が少ない地方

もう少し「地方らしさ」を求めるなら、ブリティッシュコロンビア州の内陸・北部・島の小さな町や、アルバータ州南部の小規模な地域があります。

「BC州はバンクーバーで日本人だらけ」というイメージがあるかもしれません。でも、それは思い込みです。同じBC州でも、内陸・北部・島に行けば、日本人をほとんど見かけない町がいくつもあります。費用も大都市より下がりやすい。

ただし、田舎の現実は受け入れる覚悟が必要です。冬の寒さは厳しく、町は小さく、都市のような便利さはありません。日本からの移動も乗り換えが増えます。そしてホストファミリーとの距離が非常に近くなるぶん、その家庭の価値観や生活リズムに合わせる柔軟さが、都市以上に求められます。

もうひとつ、知っておいてほしいことがあります。ある地域に良い受け入れ態勢ができて、毎年学生が集まるようになると、その地域は少しずつ日本人が増えていきます。「去年は少なかった」が「今年も少ない」とは限らない。だからこそ、地域名だけで決めず、今の実態を確認することが欠かせないのです。

タイプ3:本当に「自分ひとり」になりたい人へ(上級者向け)

「日本人が一人もいない環境で勝負したい」。そういう強い希望には、カナダ中央部のサスカチュワン州や、最果てのニューファンドランド州(セントジョンズ周辺)という選択肢があります。

サスカチュワン州最大都市のサスカトゥーンは、日本への知名度が低く、日本からの直行便もないですが、都市としてある程度の大きさがあり、教育のプログラムや設備はとてもしっかりしている穴場的な場所です。ニューファンドランドは、日本から最も遠く、文化も独特で、そもそも留学生自体がほとんどいません。正直にお話しすると、私の現地での経験の中でも、この州へ学生をお送りするのはこの9月が初めてです。それくらい、日本人とは縁遠い土地です。だからこそ「ほぼ確実に日本人ゼロ」が実現します。

ただし、最も遠く、私たちにとっても最も新しい土地です。費用や生活の細部まで知り尽くしているわけではありません。相応の英語力と自立心があるお子さん向けだと考えてください。

タイプ4:人気エリアでも、学校を選べば少ない

最後に、これは現地で各教育委員会と働いて初めて腑に落ちたことです。「日本人の多い・少ない」は、教育委員会の単位では語れません。学校単位・地域単位で決まります

たとえば人気の街でも、中心部の高校には日本人が集まり、車で十数分離れた郊外の学校にはほとんどいない、ということが普通に起こります。「人気エリア=日本人が多くて避けるべき」と一括りにすると、その中にある”穴場の一校”を見逃してしまうのです。逆に、人気エリアの便利さは享受しつつ、日本人の少ない学校を選ぶ、という賢い選び方もできます。

「ネットで見つからない=日本人が少ない」ではない

ここで、検索だけで地域を選ぶ方に、どうしても伝えておきたい落とし穴があります。

実は、日本の高校との直接提携で、一般の検索にはまったく出てこない形で、毎年まとまった人数の日本人が入っている地域・学校があります「留学 ◯◯(地域名) 日本人」で検索して情報が出てこない=日本人がいない、ではないのです。むしろ知名度が低いのに、行ってみたら日本人がそれなりにいた、という地域すらあります。

これは、現地に移住して各教育委員会と実際に働き始めて、ようやく見えてきたことです。さらに言えば、各教育委員会の公式資料に「英語学習サポートあり」と書かれていても、それが留学生向けの体系的なESLなのか、地元の移民家庭の子ども向けのものなのかは、まったくの別問題です。表に出ている情報だけでは、本当の「日本人の数」も「支援の手厚さ」も分かりません。

だからこそ、ネットの情報だけで決め打ちせず、現地の生きた状況を確認することが大事なのです。

「日本人が少ない」だけで選ぶと、なぜ失敗するのか

ここまで「どこが少ないか」をお話ししてきましたが、最後にもう一度、出発点に戻ります。

人間の性格と行動は、別のものです。引っ込み思案な気質そのものは、無理に変える必要はありません。けれど、勇気を出して一歩を踏み出す「行動」は、育てることができます。ただし、それには「安全基地」が要ります。何かあったときに戻れる場所、支えてくれる人がいる、という安心感です。

英語にまだ自信のない段階で、日本人もいない、英語サポートも薄い環境に飛び込むのは、この安全基地のない挑戦になりがちです。挑戦が実るどころか、自信を失う結果になりかねません。英語に不安があるなら、まずは英語サポートのある環境やファウンデーションで土台を作り、1年目を終えてから希望の地域へ移る、という道もあります。

→ 関連記事:「日本人が少ない環境」を、孤立せずに活かす学校選び「日本人が多すぎる」と感じたとき、本当に考えるべきこと

もうひとつ。「心機一転、海外でリセットしたい」という動機には、少し注意が必要です。場所を変えても、根っこにある課題は一緒についてきます。「逃げる留学」ではなく「挑む留学」になるよう、動機の部分こそ、最初に整理しておきたいところです。

あなたにとっての「ちょうどいい少なさ」を、一緒に見つけましょう

ここまで読んでいただいて、お気づきかもしれません。すべての条件を満たす「完璧な町」は存在しません

日本人の少なさ、費用、気候、英語サポート、都市の便利さ、ホストファミリーや担当者の安心感——これらは、たいてい互いに引っ張り合います。日本人が少ない州ほど費用が高かったり、便利な都市ほど英語サポートが偏っていたり。だから「日本人が少ない留学先ランキング」のようなリストから一つを選ぶ、という決め方そのものが、実はうまくいきません。

大切なのは、お子さんの英語レベル・性格・ご予算・譲れない条件を整理して、その人にとっての「ちょうどいい少なさ」を見つけることです。私は現地で各教育委員会と直接つながっているので、今この瞬間に、どの地域にどれくらい日本人がいるか、検索には出てこない流れも含めて確認できます。

費用を抑えたい、というご希望が強い場合は、費用から考えるカナダ高校留学も合わせてご覧ください(「日本人が少ない」と「費用が安い」は別の軸なので、分けて考えるのがおすすめです)。

正しい環境さえ選べれば、お子さんは思っている以上に伸びます。その「正しい環境」を、現地から一緒に探させてください。

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