2026年6月。オンタリオ州の東イースタンオンタリオ地方の教育区(アッパーカナダ教育委員会、そしてイースタンオンタリオカソリック教育委員会)を視察してまわりました。そのなかでいくつかの学校を訪問させて頂きました。その学校には、弊社からの留学生ではないですが、日本人の学生さんがいて、何人かと直接お話しをさせて頂く機会がありました。
そこで改めて感じたことを、今日は正直に書きたいと思います。これからカナダ高校留学を考えているご家庭に、ぜひ親子で話し合ってほしいテーマです。
「うちの学校、日本人が多すぎる」という不満
カナダに留学した日本人生徒から、こんな声を聞くことがあります。
「この学校、思っていたより日本人が多くて……」 「もっと日本人が少ない学校だったらよかったのに」
留学先を選ぶとき、「日本人が少ない学校」を条件に挙げるご家庭は本当に多いです。気持ちはよく分かります。せっかくカナダまで来たのだから、英語漬けの環境で過ごしたい——当然の願いです。
でも、そう言う生徒ほど、日本語を話している
ところが今回に限らず現地の高校を何校もまわって生徒たちを見ていると、おもしろい事実に気づきます。
「日本人が多すぎる」と不満を言う生徒ほど、実は日本人同士で固まり、日本語を話している時間が長いのです。しかも、本人が思っている以上に。
逆に、同じ学校に日本人がいても、すいすい英語の輪に入っていく生徒もいます。違う国から来ている留学生だけでなく、現地のカナダ人のお友達もたくさんいる生徒もいます。同じ環境にいるのに、です。
つまり、結果を分けているのは「環境」ではありません。
本当の壁は「数」ではなく「間違える怖さ」
問題は、何人の日本人に出会うかではありません。
本当の壁は、知っている人の前で、下手な英語を話す怖さです。間違えたときに「どう思われるか」という不安です。
大切なポイントが2つあります。
1つは、日本人が近くにいると、つい日本語に逃げてしまう。間違えるリスクを取らずに済むからです。「日本人が多いから英語が伸びない」のではなく、「間違えるのが怖いから日本語のそばにいる」——順番が逆なのです。
だから、もし日本人がゼロの学校に行っても、この怖さを抱えたままなら、今度は「現地の友達ができない」という別の壁にぶつかります。環境を変えても、自分が変わらなければ結果は同じです。
そしてもっと根深い2つ目。
自分と同じ日本人に自分の間違いを見られたくない。
初級者や中級者の頃。英語を話すには勇気が入ります。間違えることへの怖さもあるでしょう。特に若い10代の高校生にとっては留学先で出会った同年代の日本人の前で英語を話すのは、避けたいシチュエーションになるのかも知れません。「ガチで頑張ってるやつ」と思われるのが恥ずかしいと感じる子もいるようです。
「日本人の数」にこだわりすぎると、本当に合う学校を見落とす
そして留学プランにおいては、見落としてはいけないことがあります。
「日本人が少ない」という条件にこだわりすぎると、お子さんに本当は合っていない留学先を選んでしまうことになりかねません。
学校選びで本当に大切なのは、その学校がお子さんに合っているかどうかです。学習サポートの手厚さ、学校の規模や雰囲気、興味のある教科や部活動があるか、安心して過ごせる環境かどうか——本来はこうした要素こそが、お子さんが伸びるかどうかを左右します。
ところが「日本人が少ない学校」を最優先にしてしまうと、こうした大事な条件が後回しになります。その結果、英語環境としては理想的でも、お子さんにとっては合わない学校を選んでしまう。これでは本末転倒です。
「日本人の数」は、数ある条件の一つにすぎません。それを唯一の物差しにしないことが、後悔しない学校選びの第一歩です。実はそれよりも、「日本人の前で英語を話すことへの心理的抵抗」について留学前に意識的に、留学生本人に考えてもらうことのほうが大切なのです。
留学前に、家族で話し合ってほしいこと
ここからが、出発前にぜひ親子で考えてほしいことです。
留学先が決まったあと、お子さん自身に自分で考える時間を持ってもらってください。「英語が上手くなる」とはどういうことか。何が自分の壁になりそうか。それを自分の言葉で考えることが、すべての出発点になります。
そのうえで、こんな練習をすすめています。頭の中で想像するだけで大丈夫です。
日本人の、同い年の同級生の前で、思いっきり間違えた英語を話してみる。
一番こわい相手の前で、わざと拙い英語をさらす。最初は勇気がいります。でも、頭の中で何度もリハーサルしてみるといいでしょう。いつも、何度も。くり返すうちに、だんだん平気になっていきます。
それが、日本人が英語を上達させるために払う「対価」です。乗り越える壁です。
そして、その対価を払う覚悟がある子は、必ず成長します。
間違えを受け入れる方が、ずっとかっこいい
言語は、間違えずに上達することはできません。これは例外なく、誰にでも当てはまる事実です。
だからお子さんに、出発前にこう伝えてあげてください。
間違えずに話すことよりも、間違えを受け入れて学んでいくことの方が、ずっとかっこいいんだよ。言語だけじゃない、人生も同じ。
私たちが大切にしているのは「かっこいい日本人を世界に増やす」こと。ここで言う「かっこいい」とは、流暢に話せることではありません。間違えることを恐れず、それでも一歩踏み出せる——その姿勢のことです。
留学先選びで「日本人の数」を気にするのは自然なことです。でも、それ以上に大切なのは、お子さん自身が「間違えてもいい」と腹をくくれること。私たちは、そこを一番のサポートポイントだと考えています。
留学先の選び方や、お子さんに合った環境について相談したい方は、カウンセリングフォームからお気軽にどうぞ。

