子どもが「これを学びたい」「これがやりたい」と、自分の言葉で希望を伝えてくれる。
親にとって、これほど嬉しい瞬間はないと思います。だからこそ、その希望をできるだけ叶えてあげたくなる。当然のことです。
でも、留学相談の現場で20年やってきて、一つ思うことがあります。
10代の「やりたい」は、言葉どおりに受け取らないほうがいい。
冷たく聞こえるかもしれません。でも逆です。むしろ、その子の気持ちを大切にしたいからこそ、です。
10代が口にする「やりたいこと」は、たいてい、まだ言葉になりきっていません。本人の中にある大きな興味の、ほんの入り口の部分だけが、たまたま見つけた言葉に乗って出てくる。そんなことが、よくあります。
たとえば「観光業を学びたい」と言う子の奥には、「いろんな土地を見てみたい」「人と関わる仕事に憧れる」という、もっと広くて、もっと曖昧な気持ちが隠れていたりします。「プログラミングを学びたい」の奥に、「何かを自分の手で作り上げる達成感が好き」という核があったりもします。
ここで、伝えてくれた言葉だけを握りしめて、その通りの「科目」や「学校」を探しにいくと、本当に伸ばすべきだった気持ちのほうを、取りこぼしてしまうことがあるのです。
だから私は、希望を聞いたら、その奥をもう少しだけ聞きます。「どうしてそう思ったの?」「それの何が面白そう?」と。子ども本人もうまく言葉にできないことが多いので、一緒に探すような気持ちで聞きます。
そうやって、まだ言葉になっていない気持ちを、少しずつ言葉にしていく。そして、その気持ちが一番伸びる「環境」は何だろう、と一緒に考える。
子どもが差し出してくれた「やりたい」を、否定するのでも、鵜呑みにするのでもなく、もう一段深いところまで一緒に掘って、より良い形に育てる。人生経験のある大人だからこそできる仕事が、ここにあると思っています。
そしてこれは、留学に限った話ではない気もしています。我が家にも3人の子どもがいますが、子どもの「やりたい」にどう向き合うかは、親としていつも考えさせられるテーマです。
※「やりたいことが決まっている子の学校選び」について、実際にあったご相談の事例を、こちらで詳しくご紹介しています。 👉 「カナダでツーリズムを学びたい」──その子に観光科のある学校を勧めなかった理由

