娘が「大学生のパーティーに行きたい」と言った日──カナダ高校留学で、後見人が母親に送った一通の同意書

先日の朝、オンタリオ州で長年ホームステイ事業を営むパートナー会社の社長と話していて、胸に残る話を聞きました。

弊社の生徒ではないのですが、留学中のある日本人の女子高校生(17歳)が、ある日突然「友達に誘われたから、大学生が主催するパーティーに行きたい」と言い始めたそうです。

その社長は、彼女のホームステイ先を手配し、現地での後見人(カストディアン)も務めていました。当然、答えは「No」です。17歳の高校生を、大学生のパーティーに送り出す許可など出せるはずがありません。

ところが、話はそこで終わりませんでした。


目次

「なぜダメなんですか?」──娘も、日本の親も怒った

「なぜダメなの?」

その女の子は、ホストマザーにも、後見人である社長にも、どうしても行きたくて、強く食い下がったそうです。そして日本にいるお母さんも娘の側についてしまい、「どうして参加させてくれないのか」とホームステイ会社にクレームを入れてきたそうです。

これは、留学斡旋を続けてきた私が何度も見てきた、**日本の保護者が見落としがちな”ある決定的な認識のズレ”**を象徴する出来事でした。

それは──日本の「大学生のパーティー」と、カナダの「大学生のパーティー」は、まったくの別物だということです。


日本の”パーティー”と、カナダの”パーティー”はまったく別物

多くの日本の保護者は、「パーティー」と聞くと、カラオケやサークルの飲み会のような、どこか健全で管理されたイメージを思い浮かべます。日本では飲酒もタバコも20歳から。未成年が混ざっていれば、未成年にお酒を飲ませた大人に責任がいく、SNSで話題になってしまうと大問題になりますので、場の空気がそれを抑制します

カナダは違います。

オンタリオ州では、お酒もタバコも19歳から合法です。さらにカナダでは、大麻(マリファナ)が国として合法化されています(成人のみ)。ベイプ(電子タバコ)も日常に溶け込んでいます。

つまり、大学生が集まるパーティーとは、お酒・タバコ・ベイプ・大麻が”当たり前にそこにある”空間だということです。それらは成人にとって違法ではない。誰かがあなたの子どもに罪悪感なく勧めてくるかもしれない。そして17歳の女の子が、英語も完璧ではない異国で、年上の見知らぬ集団の中に一人で入っていく──。

何が起きてもおかしくない、と言ったら大げさに聞こえるでしょうか。

現地で子どもたちを預かる人間からすると、これは「大げさ」ではなく「現実的なリスク」です。


社長が母親に送った、一通の同意書

それでもそのお母さんは引きませんでした。「娘がどうしてもと言うなら」と。

社長は、断固として安易な「Yes」を口にしませんでした。その代わり、お母さんに一通の同意書を送ったのです。内容を要約すると、こうです。

もしあなたの娘さんがそのパーティーでお酒を飲んで泥酔しても、ドラッグに手を出しても、性被害に遭っても、行方不明になっても、ホームステイ会社は一切その責任を負いません。緊急時にあなたへ電話を入れることもしません。電話もしないでください。それでも参加させたいなら、この書類にサインをしてください。そうすれば許可します。

冷たい文章に見えるかもしれません。でも、これは社長なりの、最後の問いかけでした。

「あなたが今、許可しようとしているのは、こういうことなんですよ」と。

その書類を読んだお母さんは、ようやく事の重大さに気づいたそうです。自分が”娘の味方”のつもりで許可しようとしていたことの、本当の意味に。

結局、娘さんはそのパーティーには参加しませんでした。本人がどこまで納得されたかは分かりません。


親の「味方」になることと、子どもを「守る」ことは違う

私はこの話を聞きながら、子育てそのものの難しさを感じていました。

子どもが「行きたい」と泣いて訴えるとき、親は本能的に味方になりたくなります。海を越えて離れていれば、なおさら「寂しい思いをさせたくない」という気持ちが先に立つ。その愛情は、何も間違っていません。

けれど、「味方になること」と「守ること」は、ときに正反対の行動になるのだと思います。

子どもの「今すぐ欲しい自由」に寄り添うのが味方なら、子どもの「まだ見えていない危険」から遠ざけるのが守ることです。後者は嫌われる役割です。「なぜダメなの」と怒られる役割です。

そのお母さんは、同意書を通して、もう一度”守る側”に立ち直ることができた。私はそれが、何よりよかったと思っています。


「厳しい」パートナーこそ、お子さんを守る最大の味方

この話を聞いた多くの人は、最初こう思うかもしれません。「ずいぶん厳しいホームステイ会社だな」と。

でも、エージェントとして、そして3人の子をカナダの学校に通わせている一人の親として、私はまったく逆のことを感じました。

こんなにありがたい存在はない、と。

子どもに嫌われてでも、保護者からクレームを受けてでも、「No」と言い切る。その場をやり過ごすために安易に許可を出すのではなく、子どもの安全のために憎まれ役を引き受ける。

それができる現地のパートナーがいるかどうかは、留学の安心を左右する決定的な要素です。残念ながら、その場の波風を立てたくないからと、こうした場面で曖昧に流してしまう人も世の中にはいます。

子どもを本気で守ってくれる人は、ときに厳しい。その厳しさの奥にある愛情を、私たちは知っています。


留学先選びと同じくらい、「誰に託すか」が大切です

カナダ高校留学を考えるとき、多くのご家庭は「どの学校か」「どの地域か」「いくらかかるか」に目が向きます。それはもちろん大切です。

でも、それと同じくらい──いえ、それ以上に大切なのが、**「異国で、誰がわが子を守ってくれるのか」**です。

お子さんが「みんな行くから」「私だけ仲間外れになる」と言ってきたとき。文化の違いから危険な誘いに乗りかけたとき。その瞬間に、海の向こうで毅然と「No」と言ってくれる大人がいるか。離れた親に代わって、本気で守ってくれる手があるか。

キャタリストカナダは、カナダ全土を実際に歩き、そうした信頼できるパートナーと一つひとつ関係を築いてきました。「日本一安心できるエージェント」を目指す私たちにとって、これは決して妥協できない部分です。

留学は、楽しいことばかりではありません。だからこそ、楽しさの前に「安心」をお約束したい。

お子さんの留学について、不安なこと・聞いておきたいことがあれば、まずは気軽にお話を聞かせてください。今すぐ決める必要はまったくありません。

それではまた次の記事で。

水谷 キャタリストカナダ

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この記事を書いた人

カナダ・ウィニペグ在住。株式会社キャタリストカナダ代表。1998年、英語ゼロでカナダへワーキングホリデー渡航。2004年、28歳で仕事を辞め妻とともにハリファックスへ語学留学。英語教師資格CELTA取得・TOEIC935点。2007年創業以来、カナダ高校留学・語学留学・サマーキャンプの支援を続けています。自身の3人の子どもたちもカナダの学校に通っています。現地在住だからこそ伝えられるリアルな情報を、保護者・学生・社会人の皆さんにお届けします。

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