カナダ留学で一番の“ムダ遣い”は「途中で終わる」こと|退学・不登校と、返ってこない費用|見積書に載ってこない留学費用⑤

結論から言います。 カナダ留学でいちばんお金がムダになるのは、留学が途中で終わってしまうことです。これが起きると支払った費用はほとんど返ってきません。厳しいケースでは、9月に始まった留学が10月で終わり、1年分の費用が戻らないこともあります。途中で終わる理由は大きく2つ——①やってはいけないこと(法に触れること)と、②カナダでの不登校です。この記事では、その仕組みと、防ぐために親ができることを正直にお話しします。

こんにちは。キャタリストカナダの水谷です。カナダ専門の留学エージェントを始めて、今年で20年になります(2006年創業)。現在はカナダ・マニトバ州ウィニペグ在住です。

シリーズ「見積書に載ってこない留学費用」、これが第5回・最終回です。これまで、ホームステイの食費、交通費、親が「ノー」と言いにくい追加費用、留学先による費用差——見積書の“外”で予算を左右するものをお話ししてきました。最後は、そのすべてを上回る、最大の費用ロスの話です。


目次

1. 最大の費用ロスは「途中で終わること」

留学が途中で終わってしまうと、学ぶ場所を失うだけでなく、支払った費用も戻ってきません。金額の大きさで言えば、これがシリーズ通していちばんのロスです。

なぜ返ってこないのか。入学時の提出書類のなかに、「途中で終わっても費用は返金されない」という同意書があり、そこにサインをしているからです。これは冷たい仕組みに見えて、実は歯止めでもあります。「始まったら帰らない。帰らないから、きちんとルールを守ろう」——そう約束して送り出すための線引きです。

途中で終わるパターンは、大きく2つあります。


2. パターン①|やってはいけないことをしてしまう

一つ目は、法に触れることをしてしまうケースです。

お酒、タバコ、マリファナ、暴力、万引き、窃盗——警察のお世話になるようなことです。カナダでは、どの教育委員会にも私立校にも、未成年の留学生を預かる後見人(ガーディアン)がいます。留学生が法に触れることをしてしまうと、「もう面倒を見られない」「親のところに帰りなさい」となり、留学が途中で終わってしまいます

もちろん、費用は返ってきません。厳しいケースでは、9月に始まって10月にそれが起きても、1年分の費用が戻らないこともあります。「ホームステイ費は使っていないのだから返してほしい」という声もいただきますが、返金はされません。これも、先ほどの“歯止め”の一部です。

これは費用の話に見えて、実は行動の話です。分かっていてやってしまう——だからこそ、先に知っておくことが大切です。(このテーマは別の動画でも改めて扱います。)


3. パターン②|カナダで「不登校」になる

二つ目は、カナダで不登校になってしまうケースです。

ここで知っておいてほしいのは、日本とカナダで「学校を休む」という概念が少し違うということです。日本では、つらいことがあって学校に行きづらいなら「じゃあ家にいよう」という発想が、いま社会的に受け入れられています。無理して来なくていいよ。けれどカナダ、特に留学生には、これは通用しません。学校に来ない学生を、ホームステイ先や学校が預かり続けるわけにはいかない。これが続くと学生ビザの条件も満たせなくなり、「親元に帰りましょう」となってしまいます。

この場合、授業料はほぼ戻りません。教育委員会は、入学する生徒の数に応じて予算を組み、先生やスタッフを雇っています。留学が始まった後に途中で終わっても、授業料は返らない仕組みなのです。ホームステイ費については、相談の余地がある場合もあります(教育委員会やホームステイ会社の規約によります。ここはエージェントの手を離れ、先方の判断になります)。


4. 不登校は「早めに言う」ことで防げる

パターン①(法に触れること)は、分かっていてやってしまうもの。けれどパターン②(不登校)は、早めに手を打てば防げる可能性が上がります

だからお願いです。「学校に馴染めていないかも」「行きたくないと感じている」——そう思ったら、早めに周りに、そして私たちに声を掛けてください。

自分のベッドルームから出られなくなってからでは、助ける手立てが少なくなってしまいます。気持ちが落ちてきている段階で話し合えれば、何か手を打てることがあります。早い段階での相談が、いちばんの予防です。


5. 不登校は「公立」で起きやすい——だからプランニングが大事

私のエージェントとしての経験から言うと、不登校になりやすいのは、やはり公立が多いです。

公立は、学校のサポートが私立より少なめです。学校によっては生徒数が1,800〜2,000人という規模で、先生方はとても優しくフレンドリーですが、自分の時間を割いてサポートするという雰囲気ではありません。働く時間とそうでない時間がはっきり分かれているのが、こちらの普通です(日本の先生のように遅くまで残業して、というのは日本特有の部分なんです)。

だから、留学のプランニングの時点が大事になります。英語力や、「学校に馴染めるかな」「シャイな性格だから、友達を作って充実させていけるかな」——そういう心配がある場合は、公立より少し費用は上がりますが、私立のインターナショナルスクールからスタートした方が、結果うまくいくというパターンもあります。少人数で、大人の目が届きやすく、友達もできやすい環境だからです。

15歳・16歳・17歳の若い子が、心が落ちてメンタルをやられてしまう——それは誰も望んでいません。その子を見て、その子の性格(特にシャイさ)に合わせて、慎重にプランを組む。これが親としてできる、いちばんの備えです。

そして、大事なのは1年目です。1年目は少し費用が高くても私立から始め、英語力が伸びて性格も明るくなった2年目からは公立に移り、費用を下げていく——そういう組み方もできます(これは前回の「留学先で費用が変わる」の話ともつながります)。


6. 「他の子がやってるから」は通用しない

パターン①について、もう一つ。「やってはいけない」と話すと、「でも、やってる人いるよ」「うちの学校にもタバコやマリファナを吸ってる子がいる」と言う子がいます。

でも——他の子がやっているからといって、留学生のあなたがやっていいわけではありません。 現地の子は、タバコやマリファナで注意されても退学にはならないことが多い。けれど留学生は違います。留学生用の同意書にサインしていて、返されてしまうのです。不公平に感じるかもしれません。でも、一緒に吸っていたカナダ人の友達は退学にならず、あなただけが退学・帰国になる——それが現実です。

昔、こんなことがありました(コロナ前、5〜6年前のことです)。カナダ人の友達に吸えと誘われる。「吸わないと友達になれない」と言う子がいました。私はそのとき、少し強めに言いました。

そんなのは友達じゃない。 そんなものを通じて作る友達は、友達じゃない。あなたにとって本当にいい友達は、「気をつけろよ」と言ってくれる人だと思う。「留学生なんだから、あいつらの真似するなよ」と言ってくれる子こそ、本当の友達だよ。

私がエージェントとしてコントロールできるのは、現地校の生徒の行動ではありません。できるのは、こうしてメッセージを届けることだけです。だから、留学生という自分の立場を忘れないでほしい。そして——そこで「ノー」とはっきり言える強さの方が、いい仲間を引き寄せます。

数百万円を守るのは、保険でも学校選びでもなく、日々の小さな判断です。この記事をきっかけに、留学前のご家族で、もう一度話してみてください。


よくある質問(FAQ)

Q. カナダ留学が途中で終わると、費用は返ってきますか? A. ほとんど返ってきません。入学時に「途中終了でも返金されない」同意書にサインします。厳しいケースでは、9月開始・10月終了でも1年分の費用が戻らないことがあります。

Q. どんな場合に留学が途中で終わりますか? A. 大きく2つです。①法に触れること(お酒・タバコ・マリファナ・暴力・万引きなど)をしてしまう場合、②カナダで不登校になり学生ビザの条件を満たせなくなる場合です。

Q. 不登校になったら、ホームステイ費も返ってきませんか? A. 授業料はほぼ戻りません。ホームステイ費は、教育委員会やホームステイ会社の規約によって、相談の余地がある場合もあります。

Q. 不登校を防ぐために、親は何ができますか? A. 「早めに言える」環境をつくることです。馴染めない・行きたくないと感じたら、早い段階で私たちに相談してください。ベッドルームから出られなくなる前なら、打てる手があります。

Q. シャイな子には、どんな学校が向いていますか? A. サポートの手厚い私立インターナショナルスクールから始める選択もあります。1年目で英語力と自信をつけ、2年目に公立へ移して費用を下げる組み方も可能です。その子の性格に合わせて一緒に考えます。


まとめ

  • カナダ留学で最大の費用ロスは、留学が途中で終わること。費用はほとんど返らない
  • 途中で終わる理由は2つ。①法に触れること ②不登校(学生ビザの条件を満たせなくなる)
  • 不登校は「早めに言う」ことで防げる可能性が上がる。落ち込む前に相談を
  • 不登校は公立で起きやすい。心配があれば私立インターから始め、2年目に公立へ移す選択も
  • 「他の子がやってるから」は留学生には通用しない。ノーと言える強さが、いい仲間を引き寄せる
  • 数百万円を守るのは、日々の小さな判断です

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シリーズ「見積書に載ってこない留学費用」(全5回・完結)

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この記事を書いた人

カナダ・ウィニペグ在住。株式会社キャタリストカナダ代表。1998年、英語ゼロでカナダへワーキングホリデー渡航。2004年、28歳で仕事を辞め妻とともにハリファックスへ語学留学。英語教師資格CELTA取得・TOEIC935点。2006年創業以来、カナダ高校留学・語学留学・サマーキャンプの支援を続けています。自身の3人の子どもたちもカナダの学校に通っています。現地在住だからこそ伝えられるリアルな情報を、保護者・学生・社会人の皆さんにお届けします。

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