カナダ留学のホームステイが心配でたまらない保護者へ|”ハズレを引いた”と思う前に知ってほしいこと

お子さんをカナダに送り出してから、毎日こんなことを考えていませんか。

「今日のごはんは何だったの?」「ホストマザーは、ちゃんと家にいてくれた?」「よくしてもらっているの?」

スマホを握りしめて、返事を待つ。少しでも歯切れが悪いと、胸がざわつく。

その気持ち、痛いほどわかります。言葉も通じない遠い国に、まだ子どもと言っていい年齢の我が子を送り出したのです。心配しないほうがおかしい。あなたは過保護でも、悪い親でもありません。

ただ、20年以上この現場を見てきて——そして今、自分の3人の子をカナダの学校に通わせている一人の親として——どうしても伝えておきたいことがあります。

その「心配」が、ときに、いちばん頑張っているお子さん自身を傷つけてしまうことがあるのです。


目次

あなたが受け取っている「情報」は、誰からのものですか

まず、冷静に考えてみてください。

あなたが毎日聞いている「ホームステイの様子」は、誰からの情報でしょうか。

それは、カナダに着いたばかりで、生活習慣もまだわからず、英語も思うように通じないお子さんからの情報です。

何が「カナダでは普通」なのか、本人にもまだ判断がつきません。各家庭ごとに少しずつ違うホームステイのルームもまだ把握出来ていない段階、慣れない環境で、ホームシックも重なり、すべてがネガティブに見えてしまう——渡航直後は、誰もが必ず通る時期です。

その不確かな情報をベースに、保護者がホストファミリーへ「あれをしてほしい」「これが気に入らない」と苦情やリクエストのメールを送り続けると、どうなるか。

本来はとても良いホストファミリーだったのに、関係がこじれて壊れてしまうことがあります。私は、それを何度も見てきました。


答えられない質問を、毎日浴びる子ども

お子さんの側に立ってみてください。

自分でも何が起きているのかわからない。英語も生活もこれから。そんな状態で、親から毎日「ホストマザーは何してた?」「ごはんは?」「ちゃんとしてもらってる?」と、答えを返せない質問を浴び続ける。

これは、想像以上にストレスです。

そしてもし、親の口から「そのホストはダメね」「やっぱり留学なんてさせるんじゃなかった」という言葉が出てしまったら——。

頑張ろうとしている子ほど、その言葉は深く刺さります。「自分の選択は、間違いだったのか」「親に迷惑をかけたのか」と。

カナダで踏ん張ろうとしているその瞬間に、いちばんの味方であるはずの親の不安が、子どもの足を後ろから引いてしまうのです。


実際にあった話

ある家庭のことを、個人が特定できない形でお話しします。

お母さんの心配が募り、ホストファミリーへの不満が抑えられなくなりました。お母さんがホストマザーに送ったメールは2週間で30通を超えていました。メールの内容を確認し、ホームステイコーディネーターがステイ先を訪問し、心配されているようなことがないことは確認が取れていました。現場では問題が起こっているわけではなかったのです。それでも、お母さんが納得できるように、結局、ホームステイ先を変えることになりました。

ところが——その数ヶ月後。

留学生本人が、こう言ったのです。「前のファミリーに戻りたい」と。

“ハズレ”を引いたのではありませんでした。”ハズレだ”と、思い込んでしまっただけだったのです。

最初の戸惑いの時期さえ越えていれば、おそらく良い関係が続いていた。そう思うと、今でも惜しい気持ちになります。


親の役割は「解決係」ではなく「安全基地」

誤解しないでください。「心配するな」と言っているのではありません。

心配は、愛情そのものです。問われているのは、その届け方だけです。

困りごとが起きたとき、それを直接ホストファミリーと交渉して解決しようとするのは、親の役割ではありません。それは現地のプログラムやエージェントの仕事です(だからこそ、私たちのような存在がいます)。

親にしかできない、もっと大切な役割があります。

それは、子どもが弱音を吐ける**「安全基地」**でいることです。

何があっても、ここに戻ってくれば受け止めてもらえる。その安心感があるからこそ、子どもは外の世界へ思い切って踏み出せます。心理学でいう「安全基地」とは、まさにこのことです。

「しばらく、自分で頑張ってごらん。何かあったら、いつでも聞くよ」

この少しの距離が、子どもにとっては成長のための”余白”になります。先回りして全部を解決してあげることが、必ずしも子どものためにはならないのです。


それでも不安なときは

とはいえ、「頭ではわかっても、心配で眠れない」——それが親というものです。私自身もそうですから、よくわかります。

だからこそ、その不安を「子どもにぶつける」のではなく、現地の事情を知っている第三者に相談するという選択肢を持っておいてください。

私たちは、現地で何が起きているのか、それが「普通」のことなのか「本当に対処が必要」なことなのかを、20年以上の経験から判断できます。あなたが一人で抱え込んで子どもにぶつけてしまう前に、まず私たちに「これって大丈夫ですか?」と聞いてください。

それだけで、防げるすれ違いがたくさんあります。


留学のリアルを、もう少し知っておきたい方へ

留学中に子どもが直面する壁や、ご家庭が知っておくと安心なことを、現場の視点でまとめています。あわせてお読みください。

話を聞くだけでも大丈夫です

「まだ留学を決めたわけではないけれど、不安だけ先に相談したい」——そんな段階のお問い合わせも、もちろん歓迎します。私たちは留学を売り込む会社ではありません。あなたとお子さんにとって本当に良い選択を、一緒に考える相手だと思ってください。

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この記事を書いた人

カナダ・ウィニペグ在住。株式会社キャタリストカナダ代表。1998年、英語ゼロでカナダへワーキングホリデー渡航。2004年、28歳で仕事を辞め妻とともにハリファックスへ語学留学。英語教師資格CELTA取得・TOEIC935点。2007年創業以来、カナダ高校留学・語学留学・サマーキャンプの支援を続けています。自身の3人の子どもたちもカナダの学校に通っています。現地在住だからこそ伝えられるリアルな情報を、保護者・学生・社会人の皆さんにお届けします。

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