興味&好きなことで選ぶ

Lambrick Park高校のベースボール/ソフトボールアカデミー ― クラブのシーズンから逆算する、四季通年の高校留学

水谷通孝

カナダ在住・カナダ高校留学エージェント歴20年(2006年創業)。2025年にカナダへ移住し、自身の子どもたちもカナダの学校に通っています。現地在住の立場から、費用・学校・生活の最新情報を直接お伝えします。

「カナダの学校のアカデミーって、結局そこで何をするんですか。試合をしないなら、何のために毎日やるんでしょう」

BC州の野球アカデミーを説明していると、必ずこの質問に行き当たります。もっともな疑問です。練習だけして試合をしないのなら、目的がよく分からない。

その答えを、いちばんはっきり書いている学校があります。BC州グレータービクトリア学区(SD61)のLambrick Park Secondary School(ランブリックパーク高校)です。公式サイトには、こうあります。

「多くの生徒にとっての主な目標は、それぞれの地域の野球/ソフトボールチームで、ロースター(登録枠)を勝ち取ることです」

クラブで戦うために、ここで仕上げる。目的がはっきりしているぶん、カリキュラムの組み方まで明快です。

先にお伝えすると、カナダの高校野球に甲子園のような全国大会はなく、州によって仕組みがまったく違います。全体像は野球で選ぶカナダ高校留学ガイドに、仕組みの解説はカナダの高校野球はどうなっている?にまとめました。

▶ 地域の全体像はBC州 高校留学の完全ガイドバンクーバー島の高校留学(9学区の比較)、受け入れ元はグレータービクトリア教育委員会 留学生プログラムの紹介をご覧ください。

はじめに ― 「Lambrick Park」が2つ出てきます

先に整理させてください。ここを曖昧にすると、記事全体を読み違えます。

  • Lambrick Park Secondary School(学校):4139 Torquay Drive
  • Lambrick Park(サーニッチ市の市営公園・約13.85ヘクタール):4145 Lambrick Way

この2つは、隣接していますが別のものです。学校の敷地ではなく、市が管理する公園です。

そして——この公園を本拠地にしているのが、BC州最高峰リーグ(BCPBL)のVictoria Eaglesです。2009年に地元の野球団体がBCPBLのフランチャイズをここに誘致して以来、公園の球場でトップレベルの試合が行われています。

つまり、学校のすぐ隣に、州最高峰の試合会場がある。ただし「学校のグラウンドでBCPBLが試合をしている」わけではありません。この区別は正確に持っておいてください。

結論 ― どんな子に向くアカデミーか

一言でいえば、「クラブでプレーする(したい)子が、その外側を整えるための場所」です。

  • 年$1,776。BC州の野球アカデミーの中では中位
  • 四季を通じて、内容が変わる。秋は屋外、冬は屋内、春は維持。1年が設計されています
  • RapsodoとBlast Motionで数値化。感覚ではなく、データで自分の変化を見ます
  • 全レベル対象。学区は「発達段階に応じたもの(developmental in nature)」と表現しています
  • ソフトボールに専任の指導者がいます。女子の受け皿として、BC州の野球アカデミーでは珍しい体制です

そして、この学校の設計思想がいちばん出ているのが、次の点です。

クラブのシーズンから逆算して、1年が組まれています

BC州には学校対抗の野球がありません。だから、練習は学校、試合は地域のクラブ、という二段構えになります。この構造そのものはBelmont高校の記事で詳しく説明しました。

Lambrick Parkが他と違うのは、その二段構えを前提として認めたうえで、堂々と設計している点です。

多くの学校は「このプログラムは競技ではありません」と、否定形で書きます。この学校は違います。クラブのシーズンがいつ始まり、いつ山場を迎えるかを軸にして、1年のメニューを組んでいます。

公式に書かれている年間の流れを、クラブ側の事情と並べてみます。

時期クラブ側アカデミーがすること
秋① 9〜10月(約5週)シーズン終盤〜終了月〜木は屋外で実技、金曜は教室。課題の洗い出し
秋② 10〜11月(約5週)オフ月〜木はストレングス&コンディショニング。長い戦いからの回復と土台づくり
冬① 11〜12月オフ月・水はOak Bay Rec Centreで屋内練習、火・木はウェイトルーム
冬② 1〜3月(12週)シーズン前同じ形で強度を上げていく。投手はブルペンを開始し、球数を漸増
春 3〜6月シーズン本番月・水は屋外、火・木はストレングス。「自動化を促す反復」と「維持」
夏 7〜8月シーズン学校は閉鎖

春の記述に注目してください。公式にはこうあります。

「春休みのあとは、多くの選手が競技シーズンに入る時期です」 「激しい競技シーズンで大きな負荷がかかるため、使いすぎを避けます」

春の目標は、うまくなることではありません。壊さないことです。筋力とパワーを維持し、可動域を改善する。技術は「自動化を促す反復」——考えなくても体が動く状態にする。

これは、試合をする選手のための設計です。カナダの部活的なプログラムではなく、シーズンを戦う選手のコンディショニング計画に近い。私はこの点を、この学校の最大の特徴だと考えています。

プログラムの中身

数値で見る、という文化

公式に明記されているのが、RapsodoとBlast Motionという計測機器の使用です。打球や投球の回転数・速度・角度、スイングの軌道といったものを数値化する道具で、「発達を導くための定量的なデータを提供する」と説明されています。

日本の部活で「もっと鋭く振れ」と言われていたものが、ここでは数字で返ってきます。自分がどう変わったかを、感覚ではなく記録で確認できる。留学生にとっては、言葉の壁を越えて自分の進歩が見えるという意味でも、悪くない仕組みです。

指導陣は5名体制

  • Graham Campbell(ベースボール/ソフトボール指導)
  • Michael Chewpoy(ベースボール指導)
  • Jill-Marie Moreau(ソフトボール指導)
  • Mitchell Davidoff(契約コーチ)
  • Josh Campbell(ストレングス&コンディショニング)

ストレングス&コンディショニング専任のコーチがいることが、前章の「シーズンから逆算する」設計を裏づけています。技術指導だけの体制では、こういうカリキュラムは組めません。

施設は学校と地域の複合

冬の屋内練習はOak Bay Rec Centre(打撃ケージと人工芝)、ウェイトトレーニングは校内のウェイトルーム。屋外は隣接する公園の球場です。

学校の中だけで完結していないのが、この学区のやり方です。地域の施設を使いながら、時間割の中で回しています。

ソフトボールが、同格で扱われています

ソフトボールに専任の指導者が置かれ、名称も「ベースボールおよびソフトボールアカデミー」です。

BC州の野球アカデミーを7校ほど調べましたが、ソフトボールをここまで対等に扱っている学校は多くありません。「娘にソフトボールを続けさせたい」というご相談は実際にありますが、選択肢が少ないのが現実です。この学校は、その数少ない受け皿のひとつです。

費用 ― ,776と、その外側

アカデミー費

年$1,776

正直に書きますと、この金額は学区の公式サイトでは確認できません。SD61は費用の資料を公開しているのですが、スキャンした画像として掲載されているため、検索しても金額が出てこないのです。

私たちがこの数字を書けるのは、実際に生徒を送っているからです。

留学そのものの費用(2027-28年度・グレータービクトリア学区)

項目金額
出願料$350
プログラム費(授業料)$17,500
医療保険$1,250
後見人登録+ホームステイ手配$650
ホームステイ・モニタリング費$700
ホームステイ(10ヶ月)$13,500
8月または1月のホームステイ費$250
合計$34,200

※2027年9月に入学されるお子さんは、この2027-28年度の料金が適用されます。2026-27年度は$33,600で、1年違うと$600変わります。

合計はおよそ$35,976($34,200+$1,776)。さらにクラブでプレーするなら、その費用も別に必要です。

支払いの仕組みが、学区によって違います

ここは、実際に手続きをした者にしか書けない部分です。

学区の料金表には、アカデミー費の項目がありません。代わりに、こう注記されています。

「生徒は、運動関連の費用、ワークブック、遠足の費用を、学校へ直接支払います」

この一文だけを読むと、「現地に着いてから、学校に払うのだな」と思います。ところが実際は違いました。

弊社のケースでは、アカデミー費の請求書が留学生プログラムから届き、弊社経由でお支払いしました。つまり日本から、通常の留学費用と同じ流れで送金できたのです。現地で別途お金を用意する必要はありませんでした。

なぜこれを書くかというと、同じBC州でも、学区によってまったく違うからです。

学校(学区)アカデミー費支払いの流れ
Lambrick Park(グレータービクトリア SD61)$1,776留学生プログラムが請求。日本から送金で完結
Langley Secondary(ラングレー SD35)$2,000留学の請求書には載らず、別途メールで現地払いの案内
デルタ学区の体育科目(野球・ソフトボール)追加費用なし留学費用に含まれる

同じ「BC州の公立高校で野球をする」でも、お金の動き方が3通りあります。

Langleyのように現地払いの学区では、渡航前にそのことをお伝えしておかないと、着いてから慌てます。Lambrick Parkのように留学生プログラムが窓口になっていれば、その心配はありません。どちらが良いという話ではなく、事前に知っているかどうかの話です。

私たちが「留学費用はいくらですか」と聞かれたときに、請求書の合計をそのまま答えないのは、こういうことがあるからです。

クラブと、どうつながるか

このアカデミーは、クラブに入ることを前提に組まれています。では、その受け皿はどうなっているのか。

ビクトリア圏には、階層のはっきりしたクラブ環境があります。気軽に試合を楽しむなら年$700〜800(年40試合ほど)、州最高峰のBCPBLになると$5,500〜6,500。費用の幅が大きく、上位はそれだけで留学の学費に迫ります。詳しい階層と金額は、Belmont高校の記事の「試合はどこで?」の章に一覧でまとめてありますので、そちらをご覧ください。

Lambrick Parkの立地が効いてくるのは、ここです。

Belmontのあるラングフォードは市の西側で、上位クラブの本拠地はどれも市街側にあります。平日夜の移動を、家庭が設計しなければなりません。Lambrick Parkは、その市街側にあります。しかも隣の公園が、BCPBLのEaglesの本拠地です。

ただし、正直に線を引きます。

アカデミーとクラブに、公式な提携関係は確認できていません。学校もクラブも、そのような発表をしていません。あるのは「隣接しているという事実」と「アカデミーがクラブでのプレーを前提に設計されているという事実」です。その2つは書けますが、「アカデミーに入ればEaglesに入れる」とは書けません。

そして——学校外のクラブは、私たち留学エージェントと教育委員会のサポート範囲の外です。加入手続き、費用、保険、送迎は、すべてご家庭の責任になります。ホストファミリーに毎週の送迎を期待することもできません。

むしろ、正直に書かなければならないのは次のことです。このアカデミーは、クラブに入ることを前提に設計されています。ということは、クラブに入らなかった場合、春のカリキュラムは意味を半分失います。「シーズンを戦う体を維持する」メニューなのに、戦うシーズンがないからです。

ここが、この学校を選ぶかどうかの分かれ目です。

◆ 現地から ― この9月、生徒が入ります

この2026年9月から、弊社の生徒がこのアカデミーに参加します。

だからアカデミー費$1,776という、公式サイトのどこにも出ていない数字を書けています。手続きを実際に通した者にしか分からないことが、留学にはいくつもあります。

なお、参考情報をひとつ。報道によれば、2026年7月にトロント・ブルージェイズの基金からこのアカデミーへ$50,000の寄贈がありました。経済的な理由で参加できない生徒のための奨学金に充てるとされています。アカデミーの公式サイトには記載がないため、あくまで報道ベースの情報としてお伝えします。

他の選択肢と比べると

同じビクトリア圏で、もっと入口の広い形がいいなら スーク学区のBelmont高校(年$770・通年・2単位・初心者歓迎)があります。Belmontはクラブに接続しなくても、野球のある学校生活が校内で完結します。Lambrick Parkは逆に、クラブでプレーすることを前提に設計されています。「まず続けられること」ならBelmont、「クラブで戦うこと」ならLambrick Park。同じビクトリア圏でも、性格がはっきり分かれます。

もっと時間を投じたいなら ラングレー学区のLangley Secondary(毎日159分・8単位・年$2,000)は、BC州で最も時間を投じる形です。カナダ最高峰のクラブが学校と提携して運営しています。

送迎の心配をせずに試合をしたいなら、州を変える BC州にいる限り、試合はクラブです。アルバータ州の全寮制Vauxhall Academy of Baseball(約$15,600・シーズン75試合以上)なら、練習も試合も寮生活も同じ場所で完結します。

よくある質問(Lambrick Park・野球編)

Q. 初心者でも入れますか? A. 公式には「あらゆる技術レベルに合わせた指導」とされ、学区も「発達段階に応じたもの」と表現しています。ただしこのプログラムはクラブでプレーすることを前提に組まれています。クラブに入る予定がないお子さんの場合、春のカリキュラムが噛み合いません。「まず野球を続けられること」を優先されるなら、初心者を明確に歓迎しているBelmont高校のほうが向く可能性があります。

Q. アカデミー自体は試合をしますか? A. しません。BC州には学校対抗の野球がないためです。このアカデミーは「シーズンの外側」を担当し、試合は地域のクラブが担います。ただしクラブは私たちと教育委員会のサポート範囲外で、加入・費用・送迎はご家庭の責任になります。

Q. 隣の球場でBCPBLの試合があるなら、そこでプレーできますか? A. アカデミーに入ればプレーできる、ということではありません。Victoria EaglesはBCPBLの強豪クラブで、加入には別途の手続きと選考があります。学校とクラブに公式な提携関係も確認できていません。近くにあるという事実と、入れるかどうかは別の話です。ここは正直にお伝えします。

Q. 費用は全部でいくらかかりますか? A. 2027-28年度のグレータービクトリア学区の留学費用が$34,200(10ヶ月・ホームステイ込み)、これにアカデミー費$1,776が加わって、およそ**$35,976**が目安です。この学区では、アカデミー費も留学生プログラムから請求が来るため、日本からの送金で完結します(学区によっては現地払いのところもあります)。クラブに入る場合はさらに別途かかります。

Q. ソフトボールでも参加できますか? A. できます。専任の指導者が配置されており、名称も「ベースボールおよびソフトボールアカデミー」です。BC州の野球アカデミーの中で、ソフトボールをここまで対等に扱っている学校は多くありません。

Q. 対象学年は何年生ですか?単位は出ますか? A. 学校自体はGrade 9〜12です。ただしアカデミー単体の対象学年と単位数について、公式に明記された資料を確認できていません。推測でお答えせず、必要に応じて学校へ確認したうえでご案内します。

Q. 夏はどうなりますか? A. 7〜8月は学校が閉鎖されます。ただしこの時期は、まさに地域クラブのシーズン真っただ中です。学校が閉まっている間こそ、クラブでプレーしている。この学校の設計は、そこまで含めて筋が通っています。

おわりに ― 目的がはっきりしている、ということ

Lambrick Parkのアカデミーは、華やかな売り文句を持っていません。全国大会もなければ、対外試合もない。

そのかわり、何のためにやっているのかが、はっきりしています。クラブのロースターを取るため。シーズンを戦い抜くため。だから秋は課題を洗い出し、冬に作り直し、春は壊さないように維持する。1年が、目的から逆算されています。

私は、この明快さを評価しています。「とりあえず毎日やる」ではなく、「何のために、いつ、何をするか」が設計されている。それは、お子さんが自分の1年を理解できるということでもあります。

ただし、繰り返します。クラブに入らないのであれば、この設計の半分は活きません。その場合は、別の学校のほうが合います。学校名はあくまで「例」であり、大事なのは学校を売り込むことではなく、お子さんに合う進路を一緒に探すことだと考えています。

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参考(公式情報/2026年8月確認) ※費用・受け入れ条件は年度で変わります。最終判断の前に、必ず最新の公式情報をご確認ください。私たちがお手伝いします。

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水谷通孝

カナダ在住・カナダ高校留学エージェント歴20年(2006年創業)。2025年にカナダへ移住し、自身の子どもたちもカナダの学校に通っています。現地在住の立場から、費用・学校・生活の最新情報を直接お伝えします。

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