カナダの全寮制高校の選び方──家族の状況と予算に合った学校を見つけるための判断基準

目次

子供に一番あった学校を選ぶ!

カナダには世界最高水準の全寮制高校が集まっています。しかし「どの学校が自分の子どもに合っているのか」を判断するのは簡単ではありません。学費・所在地・学術プログラム・学校の雰囲気・英語サポートなど、考慮すべき要素は多岐にわたります。

このガイドでは、カナダのCAIS(カナダ独立学校協会)認定全寮制校への進学を検討している日本の家族のために、学校選びの判断基準を整理してお伝えします。

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まず知っておくべきこと──カナダのCAIS全寮制校とは

カナダの全寮制高校の中でも特に信頼性が高いのが、CAIS(Canadian Accredited Independent Schools)に認定された学校群です。CAISは厳格な審査プロセスを経て認定を与える機関で、「現在だけでなく将来にわたっても高い水準の教育が保証される」ことを意味します。現在カナダ全土に29校のCAIS認定全寮制校があります。

CAISの全寮制校に共通していること

  • 卒業生の99%以上がカナダ・世界の大学・カレッジに進学
  • 厳格な認定審査に基づく教育品質の保証
  • 充実した課外活動・スポーツ・芸術プログラム
  • 学習面・生活面を支える24時間体制のサポート
  • 多国籍の生徒が集まる国際的な学習環境

この共通点を踏まえた上で、「どの学校を選ぶか」を絞り込むための判断基準を見ていきましょう。


判断基準①:予算──年間総費用はいくらかかるか

カナダのCAIS全寮制校の国際留学生向け年間費用は、**$70,000〜$95,000カナダドル(約770万〜1,045万円・1CAD=110円換算)**の幅があります。これは授業料・寮費・食費・施設利用費などを含んだオールインクルーシブの金額が多いですが、学校によって含まれる内容が異なります。

費用帯別の学校の傾向

$70,000〜$79,999 CAD(比較的費用を抑えられる学校)

King’s-Edgehill School(NS州)は$79,950と、CAIS全寮制校の中では比較的リーズナブルな価格帯です。1788年創立のカナダ最古の独立学校であり、IBディプロマも提供しています。

$80,000〜$87,999 CAD(標準的な価格帯)

最も学校数が多く、選択肢が豊富な価格帯です。Bishop’s College School(QC州・$85,600)、Queen Margaret’s School(BC州・$85,480)、The Bishop Strachan School(ON州・$86,000)、Havergal College(ON州・$87,485)、St. Andrew’s College(ON州・$88,660)、Pickering College(ON州・$87,500)、Stanstead College(QC州・$90,000)などがあります。

$88,000〜$95,000 CAD(プレミアム価格帯)

Ridley College(ON州・$92,500)、Upper Canada College(ON州・$87,580〜$89,570)、Trinity College School(ON州・$94,500)、Lakefield College School(ON州・$90,800)がこの価格帯に属します。より広大なキャンパス・充実した施設・手厚いサポート体制を誇り、名門大学への進学実績も特に豊富です。

予算を考える上で重要なポイント

「オールインクルーシブ」の中身を確認する

つまり全て込みの金額がホームページに記載されているか?学校によって授業料に含まれる内容が異なります。制服・教科書・課外活動費・医療保険・スポーツ遠征費などが含まれる学校もあれば、別途請求される学校もあります。必ず費用の内訳を確認してください。


判断基準②:学校の性別環境──男子校・女子校・共学どれを選ぶか

CAISの全寮制校は、共学校・男子校・女子校の3種類があります。

男子校(3校)

カナダのCAIS全寮制校の中で、現在の男子校は3校です。St. George’s School(バンクーバー)、Upper Canada College(トロント)、St. Andrew’s College(オーロラ)です。

男子校には「男の子のための学び方」に特化した教育哲学があります。競争心・リーダーシップ・自律心が育ちやすく、スポーツ・課外活動での存在感を発揮しやすい環境です。共学校では目立ちにくいタイプの男の子が、男子校で大きく開花するケースは少なくありません。

女子校(5校)

St. Margaret’s School(ビクトリア)、Balmoral Hall School(ウィニペグ)、The Bishop Strachan School(トロント)、Havergal College(トロント)、The Linden School(トロント・通学制のみ)の5校があります。

女子校では「女の子の学び方」に最適化された環境の中で、STEM・リーダーシップ・自己表現力が伸びます。「男の目を気にせず自分らしくいられる」「より積極的に授業に参加できる」という効果が研究でも示されています。将来的に理系・医学・ビジネス方面を目指す女の子に特にお勧めです。

共学校(多数)

大多数のCAIS全寮制校は共学です。男女が共に学び・生活することで、多様な視点と人間関係が生まれます。将来の大学・職場環境に近い環境で社会性を育てたい場合は共学が自然な選択です。


判断基準③:所在地と環境──どんな場所で学びたいか

カナダのCAIS全寮制校は、大都市近郊から豊かな自然の中まで、様々な環境に位置しています。所在地は英語環境・週末の過ごし方・生活体験に大きく影響します。

都市近郊型(トロント・バンクーバー圏)

トロント圏(車で1時間以内): Upper Canada College・The Bishop Strachan School・Havergal College(トロント市内)、St. Andrew’s College・Pickering College(トロント近郊40〜50km)、Ridley College(ナイアガラ地域・空港から45分)

バンクーバー圏: St. George’s School(バンクーバー市内)

都市型を好む生徒、週末に文化・ショッピング・エンターテインメントを楽しみたい生徒に向いています。

バンクーバー島・BC州南部

Shawnigan Lake SchoolBrentwood College School(バンクーバー島南部)、St. Margaret’s School・Queen Margaret’s School(ビクトリア・ダンカン)が位置しています。温暖な気候の中で、自然と都市のバランスを楽しみたい生徒に最適です。

自然豊かな地方型

Lakefield College School(ON州・カチェワノーカ湖畔)、Trinity College School(ON州・ポートホープ)、Athol Murray College of Notre Dame(SK州)、Stanstead College(QC州)、Bishop’s College School(QC州)、King’s-Edgehill School(NS州)が該当します。大都市の喧騒から離れ、自然の中で学業に集中したい生徒に最適です。

特殊なロケーション

Ridley Collegeはナイアガラの滝から車で15分。Stanstead CollegeはカナダとアメリカのVermont州の国境に隣接しており、英語・フランス語が共存するユニークな環境です。


判断基準④:学術プログラム──大学進学の目標に合わせた選び方

IBディプロマ(IB Diploma Programme)

世界標準の大学進学資格で、特にアメリカ・イギリスの名門大学への出願で評価が高いです。IBディプロマを提供するCAIS全寮制校は12校あります。中でもPYP・MYP・DPを全て提供するIB一貫校は、Upper Canada College・Ridley College・Strathcona-Tweedsmuir School(AB州・通学制)の3校のみで、北米でも非常に希少な存在です。

IBを選ぶべきケース:アメリカ・イギリス・世界の名門大学を目指している生徒、批判的思考・研究・論文執筆力を高めたい生徒。

APプログラム(Advanced Placement)

アメリカの大学レベルの科目を高校在学中に履修し、大学入学後に単位認定を受けられる制度です。Trinity College SchoolはAPキャプストーンディプロマのカナダ先駆け10校の一つで、20以上のAPコースを提供しています。

州の高校卒業資格(OSSD等)

IBやAPを提供していない学校でも、少人数制・個別サポート・大学進学カウンセリングで100%の大学進学実績を誇る学校が多数あります。英語力の発展途上にある生徒や、特定のスポーツ・芸術プログラムが目当ての生徒に向いています。


判断基準⑤:学校の規模──大きな学校と小さな学校の違い

大規模校(全校生徒600名以上)

Ridley College(約874名)・Upper Canada College(約1,280名)・St. Andrew’s College(約650名以上)が該当します。スポーツ・課外活動の選択肢が多く、施設が充実しています。一方で、より積極的に自分からアクションを起こす必要があります。

小規模校(全校生徒300名未満)

Bishop’s College School(約280名)・Stanstead College(約280〜310名)・King’s-Edgehill School(約375名)・Queen Margaret’s School(ボーディング約65名)が該当します。教師・スタッフが全生徒を名前で知っている環境で、コミュニティの結束が強く、生涯続く友情が生まれやすいです。内向的・慎重なタイプの生徒に特に向いています。


判断基準⑥:英語力──現在の英語レベルに合わせた学校選び

全寮制学校での生活は24時間英語環境です。入学時の英語力は学校選びの重要な判断基準の一つです。

英語力が発展途上の場合

ESLプログラムが充実している学校を選ぶことが重要です。King’s-Edgehill Schoolは専任ESL学部+ELLサマーキャンプ(渡航前から英語習得をスタート)を提供しており、英語力に不安のある生徒に特にお勧めです。Ridley College・Stanstead College・Pickering Collegeも充実したESLサポートを提供しています。

英語力がある程度ある場合

IBディプロマ校・APが充実している学校は、英語力がある程度高い状態での入学が推奨されます。IBの授業は英語での論述・研究・プレゼンテーションが中心であるため、英語力のベースが必要です。


判断基準⑦:学校の哲学・雰囲気

キリスト教系(Anglican・一般キリスト教)

The Bishop Strachan School・Havergal College・King’s-Edgehill School・Trinity College School・St. Andrew’s College等が該当します。礼拝・チャペルが学校生活に組み込まれていますが、宗教的な家庭でなくても違和感なく馴染める学校がほとんどです。

クエーカー教育

Pickering Collegeが該当します。「誠実さ・平等・コミュニティ・平和」という価値観のもと、特定の宗教への信仰は求めず、内なる平和と社会への貢献を重視する教育です。

野外教育・自然重視

Lakefield College School・Shawnigan Lake School・Brentwood College School等が該当します。「屋外が最良の教室」という哲学のもと、自然の中での体験学習が学校生活の重要な部分を占めます。


判断基準⑧:特色あるプログラム──子どもの興味・才能を活かす

乗馬(エクエストリアン)

Queen Margaret’s SchoolはCAIS全寮制校の中で唯一、乗馬を正規の学校時間割に組み込んでいる学校です。ハンター・ジャンパー・ドレッサージュなど本格的なイングリッシュライディングを指導しています。

アイスホッケー

Stanstead Collegeはガールズホッケー5連覇・NHLドラフト1位指名選手輩出の超名門です。Ridley College(プレッププログラム)、Athol Murray College of Notre Dame(ホッケーの名門として全国的に知られる)も充実しています。

ローイング(ボート競技)

Ridley College・Lakefield College Schoolは本格的なローイングプログラムとボートハウスを完備しています。

演劇・スピーキングアーツ

Armbrae Academy(NS州・ハリファックス)はカナダ全国レベルのディベート・スピーキングアーツの名門として知られています。

陸軍士官候補生

St. Andrew’s College(カナダ第2位規模・1905年〜)、King’s-Edgehill School(カナダ最古の連続服務・1861年〜)が特に充実したプログラムを持っています。


判断基準⑨:カナダのどの州で学ぶか

ブリティッシュコロンビア州(BC州)

温暖な気候・美しい自然・太平洋岸の国際的な雰囲気が特長です。カナダの中でも特に日本人留学生が多く、日本語コミュニティも充実しています。St. Michaels University School・St. Margaret’s School・Shawnigan Lake School・Brentwood College School・St. George’s School・Queen Margaret’s Schoolの6校が在籍しています。

オンタリオ州(ON州)

カナダ最多のCAIS全寮制校が集中する州です。トロントという国際都市へのアクセスが良く、カナダ・アメリカの名門大学への進学実績も豊富です。Upper Canada College・Trinity College School・Lakefield College School・Ridley College・St. Andrew’s College・Pickering College・The Bishop Strachan School・Havergal College・Appleby CollegeAshbury CollegeAlbert CollegeSt. John’s-Kilmarnock School・The Linden School・Fulford Academyの14校があります。

ケベック州(QC州)

英語とフランス語が共存するバイリンガル環境が大きな特長です。英語+フランス語の二言語スキルを身につけたい生徒に最適です。Stanstead College・Bishop’s College School・Lower Canada College(通学制)の3校があります。

ノバスコシア州(NS州)・ニューブランズウィック州(NB州)

カナダ東海岸の歴史ある港町文化が特長です。生活費が低く、英語環境で穏やかな生活が送れます。King’s-Edgehill School(NS州)・Rothesay Netherwood School(NB州)の2校があります。

サスカチュワン州(SK州)・マニトバ州(MB州)

カナダ中部の大平原地帯に位置します。Athol Murray College of Notre Dame(SK州)は全国レベルのホッケー名門として知られ、Balmoral Hall School(MB州)は女子校の伝統校です。


まとめ──自分の家族に合った学校を選ぶための5つの質問

学校選びを始める前に、以下の5つの質問に答えてみてください。

Q1:年間予算はどのくらいか? → $80,000以下ならKing’s-Edgehill School・Bishop’s College School・Queen Margaret’s School・Stanstead College、$90,000以上ならTrinity College School・Ridley College・Lakefield College Schoolを中心に検討。

Q2:男子校・女子校・共学のどれを希望するか? → 男子校はUpper Canada College・St. Andrew’s College・St. George’s School、女子校はThe Bishop Strachan School・Havergal College・St. Margaret’s School・Balmoral Hall School・The Linden School、それ以外は共学から選択。

Q3:どんな環境(都市/自然/小さな町)を求めるか? → 都市近郊ならトロント圏・バンクーバー圏の学校、自然重視ならLakefield College School・Trinity College School・Stanstead College・King’s-Edgehill School・Shawnigan Lake School・Brentwood College School。

Q4:IBディプロマを取得したいか? → IB希望ならUpper Canada College・Ridley College・St. Michaels University School・Shawnigan Lake School・Brentwood College School・Stanstead College・Bishop’s College School・King’s-Edgehill School等から選択。IB一貫校(PYP〜DP)を希望するならUpper Canada College・Ridley Collegeが最有力。

Q5:特定の分野(乗馬・ホッケー・アート等)で特別なプログラムを求めるか? → 乗馬ならQueen Margaret’s School、ホッケーならStanstead College・Athol Murray College of Notre Dame・Ridley College、スピーキングアーツならArmbrae Academy。


よくある質問

Q. カナダの全寮制高校は英語力がなくても入学できますか?

A. 英語力の要件は学校によって異なります。King’s-Edgehill School・Ridley College・Stanstead College・Pickering Collegeは充実したESLプログラムを提供しており、英語力が発展途上の生徒でも入学しやすい環境が整っています。一方、IBディプロマ取得を目指す場合はある程度の英語力が必要です。

Q. 男子校・女子校・共学、どれを選べばいいですか?

A. カナダのCAIS全寮制校の男子校は3校(St. George’s・Upper Canada College・St. Andrew’s College)、女子校は4校(St. Margaret’s・Balmoral Hall・Bishop Strachan・Havergal College)、残りは共学です。競争心・リーダーシップを育てたい男の子には男子校、STEM・自己表現力を伸ばしたい女の子には女子校が特に向いています。

Q. 大規模校と小規模校、どちらが子どもに向いていますか?

A. 積極的でスポーツ・課外活動の選択肢を重視するなら大規模校(Ridley College・Upper Canada College等)、内向的で教師との距離が近い環境を重視するなら小規模校(Bishop’s College School・Stanstead College・King’s-Edgehill School等)が向いています。

Q. カナダの全寮制高校卒業後の進路はどうなりますか?

A. CAIS認定全寮制校の卒業生の99%以上がカナダ・アメリカ・イギリス・世界各国の大学・カレッジに進学しています。IBディプロマ取得者はハーバード・オックスフォードなど世界最難関大学への出願でも強みを発揮します。カナダの大学進学後は就職・永住権申請へとつながるルートも開けます。

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この記事を書いた人

カナダ・ウィニペグ在住。株式会社キャタリストカナダ代表。1998年、英語ゼロでカナダへワーキングホリデー渡航。2004年、28歳で仕事を辞め妻とともにハリファックスへ語学留学。英語教師資格CELTA取得・TOEIC935点。2007年創業以来、カナダ高校留学・語学留学・サマーキャンプの支援を続けています。自身の3人の子どもたちもカナダの学校に通っています。現地在住だからこそ伝えられるリアルな情報を、保護者・学生・社会人の皆さんにお届けします。

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