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Mount Boucherie高校のベースボールアカデミー ― 別途出願なし、体育の単位になる野球。アカデミー費$200

水谷通孝

カナダ在住・カナダ高校留学エージェント歴20年(2006年創業)。2025年にカナダへ移住し、自身の子どもたちもカナダの学校に通っています。現地在住の立場から、費用・学校・生活の最新情報を直接お伝えします。

留学のご相談で、いちばん多い形はこれです。

「野球は続けさせたい。でも、そのために全部を野球に賭けるような留学は考えていません」

強豪クラブに入って全国を目指すのでもなく、かといって完全にやめてしまうのでもない。**続けられる形で、続けたい。**そういうご家庭のほうが、実際には多数派です。

BC州セントラルオカナガン学区(SD23)のMount Boucherie Secondary School(マウント・ブシェリー高校)にあるベースボールアカデミーは、その要望にいちばん近い形をしています。

  • 学校のコースカタログに書かれている費用は、年$250
  • 別途の出願は不要。通常のコース選択で、他の科目と同じように選ぶ
  • Grade 10で履修すれば、体育(PHE 10)の卒業必修を充たす

つまり、体育の時間が野球になる、という形に近い。特別なプログラムに応募して、選ばれて、追加でお金を払って——という手順を踏まなくても、時間割の中に野球が入ります。

先にお伝えすると、カナダの高校野球に甲子園のような全国大会はなく、州によって仕組みがまったく違います。全体像は野球で選ぶカナダ高校留学ガイドに、仕組みの解説はカナダの高校野球はどうなっている?にまとめました。

▶ 地域の全体像はBC州 高校留学の完全ガイドをご覧ください。

結論 ― どんな子に向くアカデミーか

一言でいえば、「野球を、特別なことにせずに続けたい子」です。

  • 学校カタログの費用は年$250。BC州の野球アカデミーの中で最も低い部類
  • 別途出願がない。選抜も、面接も、締切に間に合わせる手続きもありません
  • 4単位。Grade 10なら体育の必修に、Grade 11・12なら選択科目の要件に充てられます
  • 推奨は「組織野球またはファストボールの経験2年以上」。ただし公式の表記は RECOMMENDED(推奨)であって、選考の要件ではありません
  • Grade 9のコースには、紅白戦(inter-squad games)と栄養についての学習が明記されています

逆に、向かない子もはっきりしています。学校対抗の試合を求める子には向きません。BC州には学校対抗の野球そのものがないからです。この点は後半で正直に書きます。

費用 ― BC州でいちばん低い部類です

BC州の野球アカデミーの費用を並べると、この学校の位置がはっきりします。

学校(学区)アカデミー費(学校・学区の公開資料)
デルタ学区の体育科目(野球・ソフトボール)追加請求なし
Mount Boucherie(セントラルオカナガン SD23)$250
Belmont(スーク SD62)$770
Rutland(セントラルオカナガン SD23)$1,200
Lambrick Park(グレータービクトリア SD61)$1,776
Langley Secondary(ラングレー SD35)$2,000
Yale(アボッツフォード SD34)$3,000

※Rutland・Yaleは別記事で扱います。金額はいずれも学校または学区の公開資料に基づく2026-27年度の数字です。

同じセントラルオカナガン学区の中に、$250と$1,200が並んでいます。これは価格競争ではなく、プログラムの性格が違うからです(後述します)。

そして$250が何をカバーするのか、学校のカタログはこう書いています。

「費用は、交通費、施設のレンタル料、個人用以外の用具を含みます。オンラインで支払えます」

交通費と施設レンタル料が入っている——ここから読み取れることがあります。校内で完結せず、外の施設へ移動して使う運用があるということです。ただし、どの施設なのかは公開資料に書かれていません。推測でお答えしないほうがいいので、ここは確認事項として残します。

プログラムの中身

Grade 9

  • 紅白戦(inter-squad games)を一部実施。「チームワークと試合経験を高めるため
  • 栄養について学ぶ。フィジカルトレーニングとウェイトに加えて、栄養が明記されています
  • 期間の具体的な日付(9月〜11月末、3月〜6月中旬)

Grade 10

  • 「チームの雰囲気に貢献すること」への強い関心を求める、という一文
  • 複数の学年で続けて履修する生徒には、さらなる技術の向上とチームへの貢献が期待される
  • 基本的な個人用の野球/ファストボール用具は、生徒が自分で用意する
  • 費用の内訳(交通費・施設レンタル料・個人用以外の用具)

内容の中心は、攻撃と守備のメカニクス、そして総合的な技術の向上です。競技の性質上、フィジカルとフィットネスのトレーニングも含まれます。

用具は自分で用意します

見落とされがちですが、個人用の用具は自前と明記されています。グローブ、バット、スパイク、防具類。

日本から持って行くのか、現地で買うのか。これは毎回ご相談を受ける論点です。慣れた道具を持たせるほうが、環境が変わる最初の数か月では効きます。荷物としては大きくなりますが、それだけの価値はあると考えています。

学校対抗の野球部は、ありません

学区が公開している「学校別・季節別のスポーツ一覧」を見ると、Mount Boucherie高校の対校競技は次のとおりです。

  • 秋:フィールドホッケー、フットボール、サッカー(男子)、バレーボール、クロスカントリー、水泳
  • 冬:バスケットボール、カーリング、レスリング
  • 春:バドミントン、ゴルフ、ラグビー、サッカー(女子)、テニス、アルティメット、マウンテンバイク、陸上

野球はありません。BC州の高校スポーツ連盟が野球を公認種目にしていないためで、この学校に限った話ではありません。

だからこそ、野球は「部活」ではなく「単位の出る授業」として時間割の中にあります。そして試合をする場は、地域のクラブが担います。BC州はどこもこの二段構えです。学校で練習する × クラブで試合をする。

湖と、1本の橋 ― この記事でいちばん実務的な話

ここが、Mount Boucherieを理解するうえで決定的な部分です。

ケロウナは、オカナガン湖で東西に分かれています。

Mount Boucherie高校があるのは西ケロウナ(湖の西側)。一方、同じ学区のRutland Senior Secondaryはケロウナ市の東部、BCPBL(州最高峰リーグ)のオカナガン・アスレチックスが本拠を置くエルクス・スタジアムも東側です。

そして東西を結ぶ道路は、ウィリアム・R・ベネット橋の1本だけです。

  • 全長1,060メートル、2008年開通
  • 設計上の容量は1日8万台、現状は約5万台
  • 第2の橋を建設する計画はないと、BC州政府が2023年に明言しています

つまり——「ケロウナに留学すれば、どちらの学校のアカデミーでも選べる」わけではありません。

学区の制度としては、Rutlandのアカデミーに他校の生徒が履修登録(cross-enrollment)する道はあります。ただしそれは「自分の学校の時間割に組み込む」形です。授業のある時間帯に、橋を渡って往復する。現実的な運用として、これは相当に限られます。

逆に、西ケロウナ側にとどまるなら、条件はかなり良いのです。

地域クラブの球場が、同じ側にあります

西ケロウナの地域クラブ(West Kelowna Minor Baseball)が使う主要な球場は、こうなっています。

球場場所
Mt. Boucherie Fields(メイン/アッパー)2811 East Boundary Rd, West Kelowna
Darroch Field(ロワー・ブシェリー)2775 East Boundary Rd, West Kelowna
West Kelowna Multi-Sport Centre2139 McDougall Rd, West Kelowna

学校の住所は 2751 Cameron Road, West Kelowna。いずれもブシェリー山のふもと一帯にあり、橋を渡る必要がありません。

西ケロウナ市の公式情報によれば、Mt. Boucherie Fieldsには野球ダイヤモンドが2面(うち1面は照明つき)とソフトボール1面。2026年7月末には、ここでBC州のマイナーベースボール15U AA州選手権が開催されました。

平日夜と週末の送迎を、家庭がどう設計するか。BC州の野球留学では、これが最大の実務課題です。橋を渡らずに済むというのは、それだけで負担が違います。

地域クラブの費用(2026年シーズン・West Kelowna Minor Baseball)

区分生年登録費
13U2013/2014$315
15U2011/2012$340
18U2008-2010$390

※決済手数料は別。上位のHigh Performanceチーム(15U AAなど)はチーム費が別途かかります。登録開始は12月1日、締切は4月1日。15U AAのトライアウトは2月です。

日本の感覚からすると、驚くほど安いはずです。年$340〜390——日本円で4万円前後で、地域のリーグに1シーズン参加できます。BC州最高峰のBCPBLになると年$5,000を超える世界がありますが、そこまで行かなければ、クラブの費用は留学費用に比べれば小さな額です。

学校外のクラブは、私たち留学エージェントと教育委員会のサポート範囲の外です。加入手続き、費用、保険、送迎は、すべてご家庭の責任になります。ホストファミリーに毎週の送迎を期待することもできません。

2027年9月、西ケロウナに新しい高校が開きます

2027年9月入学を検討されているご家庭には、もうひとつお伝えしておくべきことがあります。

西ケロウナに、1,200人規模の新しいセカンダリースクール(George Pringle Secondary)が2027年9月に開校予定です。州費$102.7ミリオンを投じた事業で、2022年に発表されました。

これが発表されたときの学区側の説明が、Mount Boucherieの現状をよく表しています。

「この新しい学校は、Mount Boucherie高校の深刻な収容能力の問題と、増え続けるポータブル教室(仮設教室)に対応するものです」

つまりMount Boucherieは、長く定員を超えた状態で運営されてきた学校です。生徒数は学校公式で1,800人。BC州の公立高校としては大きな部類です。

新校の開校にともない、通学区域の見直しについて2026年時点で地域協議が進んでいます。留学生は通学区域に縛られませんが、在籍校の規模感や混雑度は、2027年9月を境に変わっていく可能性があります。

これは良し悪しの話ではありません。知っているかどうかの話です。「大きな学校で、日本人が少ない環境がいい」というご希望と、「落ち着いた規模がいい」というご希望では、答えが変わります。

◆ 現地から ― この9月、生徒が入ります

先にお伝えしたとおり、この2026年9月から弊社の生徒が一人、このアカデミーに参加します。まだ通い始めていません。ですから「実績があります」とは書きません。書けるのは、手続きを実際に通した過程で分かったことだけです。

私たちがBC州の記事で毎回いちばん時間をかけているのが、この「実際にはどうだったか」の部分です。学校のサイトに書かれていることと、手続きで実際に起きることは、しばしば違います。

他の選択肢と比べると

同じ学区に、まったく性格の違うアカデミーがあります

セントラルオカナガン学区には、Rutland Senior Secondaryに学区拠点型のベースボールアカデミーがあります。費用は$1,200、第1学期の5か月間、別途のオンライン出願が必要で、学区全域から生徒が集まります。

Mount BoucherieRutland
位置づけ校内のコース学区拠点(全域から履修登録)
費用(学校カタログ)$250$1,200
出願不要必要
湖のどちら側西ケロウナケロウナ(東側)

どちらが良いという話ではありません。入口の低さを取るか、学区が選抜して集める環境を取るか。そして——橋を渡るかどうか。Rutlandについては別記事で詳しく書きます。

入口の低さで比べるなら

バンクーバー島のスーク学区Belmont高校(年$770・通年・2単位・初心者歓迎)も、入口の広い学校です。違いは、Belmontが「初心者歓迎」を明言しているのに対し、Mount Boucherieは「組織野球の経験2年以上」を推奨している点。Belmontはゼロから、Mount Boucherieは続きから、という違いがあります。

クラブで戦うことを前提にするなら

グレータービクトリア学区のLambrick Park高校(年$1,776・四季通年)は、クラブの競技シーズンから逆算して1年が組まれています。計測機器で数値化する文化もあります。Mount Boucherieが「続けられる形」なら、Lambrick Parkは「仕上げる形」です。

時間を最大限投じたいなら

ラングレー学区のLangley Secondary(毎日159分・8単位・年$2,000)が、BC州で最も時間を投じる形です。カナダ最高峰のクラブが学校と提携して運営しています。

送迎の心配をせずに試合をしたいなら、州を変える

BC州にいる限り、試合はクラブです。アルバータ州の全寮制Vauxhall Academy of Baseball(約$15,600・シーズン75試合以上)なら、練習も試合も寮生活も同じ場所で完結します。$250と$15,600。カナダの野球留学は、この幅の中にあります。

よくある質問(Mount Boucherie・野球編)

Q. 初心者でも入れますか? A. 学校のカタログには「組織野球またはファストボールを2年以上プレーした生徒に開かれている」とあり、Grade 9では「推奨(RECOMMENDED)」と表記されています。選考の要件としては書かれていませんが、まったくの初心者向けという書き方でもありません。ゼロから始めるお子さんには、初心者を明確に歓迎しているBelmont高校のほうが向く可能性があります。

Q. 別途の出願は本当に不要ですか? A. はい。学校の「出願が必要なコース」のページに掲載されているのは、デュアルクレジット、ホッケーアカデミー、消防アカデミー、美容アカデミーです。ベースボールアカデミーは含まれていません。通常のコース選択で選ぶ形になります。同じ学区のRutlandは別途出願が必要なので、ここは明確な違いです。

Q. アカデミー費はいくらですか? A. 学校のコースカタログには年$250と書かれています。ただし同じ学校のホッケーは、学校カタログ$965に対して学区の留学生向け料金表が$1,400というように、**アカデミーによって留学生の金額が別に設定されている場合があります。**野球がどちらなのかは公式資料から確定できませんでした。**公開されている金額を確定額として見積もるのは避けてください。**私たちは実際の請求内容を確認したうえでご案内します。

Q. 通年ですか、半年ですか? A. 学校の資料の中で記述が一致していません。Grade 9は「9月〜11月末と3月〜6月中旬」、Grade 10-12のカタログ本文は「第1学期」、しかしGrade 11・12のコース番号は通年を示す形式です。渡航時期の逆算に関わる部分なので、出願前に学校へ直接確認することをおすすめします。私たちも確認して分かりしだい更新します。

Q. アカデミーで試合はしますか? A. Grade 9のコース説明には紅白戦(inter-squad games)の記載があります。Grade 10以上の説明には試合に関する記載がありません。学校対抗の試合はありません——BC州の高校スポーツ連盟が野球を公認種目にしていないためです。対外試合を求めるなら、地域のクラブに入ることになります。

Q. 単位は出ますか?卒業に使えますか? A. 4単位が出ます。Grade 10で履修すると、体育(PHE 10)の卒業必修を充たします。さらに選択科目の要件も充たすと明記されています。Grade 11・12では選択科目の要件を充たします。「体育の代わりに野球をやって、それが卒業単位になる」という形です。

Q. 女子も参加できますか? A. 学校のカタログは「野球またはファストボール」と併記しており、ファストボール(ソフトボール)の経験者も対象に含まれる書き方です。ただし女子の参加実績や、ソフトボール専任の指導者がいるかまでは公式資料で確認できていません。ソフトボールを続けたいお子さんについては、専任の指導者を置いているLambrick Park高校のほうが確実です。

Q. 学校の場所と規模を教えてください。 A. 西ケロウナ(オカナガン湖の西側)のブシェリー山のふもとにあり、Grade 9〜12、生徒数は学校公式で1,800人。BC州の公立高校としては大きな規模です。なお2027年9月に近隣で新しい高校が開校する予定で、混雑は徐々に緩和される見通しです。

おわりに ― 「特別なことにしない」という選択

Mount Boucherieのベースボールアカデミーには、派手なところがありません。全国大会もなければ、プロ経験者の指導陣が並んでいるわけでもない。学校のカタログの記述も、他校に比べると短いくらいです。

そのかわり、入口がとても低い。

年$250。出願なし。体育の必修に充てられる。時間割の中に野球が入っていて、放課後は地域のクラブへ——その球場は、橋を渡らずに行ける場所にある。

日本とは部活の仕組みが違うため留学で野球を続けられなくなる子は、実際にはとても多いのです。費用が思ったよりかかる、出願の時期を逃す、練習場所まで毎回送迎が要る、単位にならないから受験の負担になる。ひとつずつは小さな障害でも、積み重なると「今年はやめておこう」になります。

障害が少ないことは、それ自体が価値です。

ただし、この記事で正直に書いたことも、あわせて覚えておいてください。留学生に$250がそのまま適用されるとは限らないこと。通年か第1学期かが学校の資料内で割れていること。湖の東側の選択肢は、実質的には別の留学になること。公開情報だけでは、留学の準備は組み立てられません。

「野球は続けさせたい、でも全部を賭けるつもりはない」——そのご相談から、一緒に考えさせてください。

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参考(公式情報/2026年8月確認) ※費用・受け入れ条件は年度で変わります。最終判断の前に、必ず最新の公式情報をご確認ください。私たちがお手伝いします。

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