こんにちは。キャタリストカナダの水谷です。
先に結論をお伝えします。カナダ高校留学でいちばん費用を抑えられるのは、「大西洋カナダ4州」「ウィニペグ(マニトバ州)」「アルバータ州の小都市」の3エリアです。 いずれも航空券を含めた総額で約275万〜300万円台。都市部(トロントなど年間約34,000ドル=約400万円)と比べると、年間で100万円以上変わってきます。
ただ、金額の話に入る前にひとつだけ。安さは「地域を選ぶ」ことで生まれますが、安ければ誰にでも正しい、というわけではありません。 高い学区は、その価格差の分だけ何かを提供しています。この記事では、安いエリアの実額を正直に並べたうえで、「どこを削り、どこは削らない方がいいか」まで一緒に考えます。
試算の前提: 本記事の日本円は2026年7月時点・1カナダドル=110円で計算しています。授業料は年度で改定され、為替は日々動きます。最終的な金額は必ず最新レートと各教育委員会の当年度資料でご確認ください。
まず結論:費用が安い学区の早見表
「どこが安いのか」を先にお見せします。すべて授業料+ホームステイ+保険の年間目安(1CAD=110円換算・年度で変動)です。
| エリア | 教育委員会(例) | 年間目安(CAD) | 円換算の目安 | メモ |
|---|---|---|---|---|
| 大西洋カナダ | ノバスコシア州 ISP | 約 $21,025 | 約231万円 | 最安級。成績・受入条件あり(後述) |
| 大西洋カナダ | ニューブランズウィック州 ISP | 約 $21,950〜 | 約241万円〜 | 学校・地域の希望を出しやすい |
| 大西洋カナダ | プリンスエドワード島州 | 約 $22,475 | 約247万円 | |
| 大西洋カナダ | ニューファンドランド・ラブラドール州 | 約 $22,000 | 約242万円 | |
| ウィニペグ圏 | リバー・イースト・トランスコナ | 約 $20,850 | 約229万円 | |
| ウィニペグ圏 | セント・ジェームズ・アシニボイア | 約 $22,800 | 約251万円 | 入学要件なし |
| マニトバ地方 | マウンテンビュー(ドーフィン) | 約 $21,800 | 約240万円 | 入学要件なし・ウィニペグ西3.5時間 |
| アルバータ小都市 | バトルリバー(カムローズ) | 約 $20,500 | 約226万円 | 入学要件なし |
| アルバータ小都市 | ホライゾン | 約 $20,135 | 約222万円 | ロッキー山脈・世界遺産の近く |
| アルバータ小都市 | ホーリースピリット(レスブリッジ) | 約 $22,650 | 約249万円 | |
| BC州(番外) | ピースリバー・ノース(フォートセントジョン) | 要確認 | ― | BC州では最安級 |
※航空券(片道/往復で約15万〜27万円程度が目安)と、お小遣い・通信・課外費などの生活費は上記に含まれません。総額では、大西洋カナダで航空券込み約275万〜285万円が下限の目安になります。
なぜ、同じ「公立」で100万円以上も変わるのか
結論から言うと、カナダの留学生プログラムは州ごと・教育委員会ごとに運営されているからです。学費は国が一律で決めるのではなく、各教育委員会が独自に設定します。そこに、都市部の物価・人件費・住宅費が上乗せされる。だから同じ「公立高校」でも、トロント都市部(約34,000ドル)と大西洋カナダ(約21,000ドル)で、これだけの差が生まれます。
ここで大事な視点をひとつ。「高い=質が高い」ではありません。 地方の公立教育委員会にも、教育熱心で、留学生を心から歓迎してくれるところがたくさんあります。都会の学費が高いのは、教育の質ではなく、その土地で暮らすコストが高いから。ここを取り違えると、「安全のために高いところを選んだ」つもりが、ただ生活コストの高い街を選んでいた、ということになりかねません。
エリア①:大西洋カナダ4州 ― 最安級だが、条件を先に知っておく
カナダでいちばん費用が安いのは、大西洋沿岸の4州です。 ノバスコシア、ニューブランズウィック、プリンスエドワード島、ニューファンドランド・ラブラドール。年間約21,000〜22,500ドルで、トロントと比べると総額で100万円以上抑えられます。
ただし、安さには「条件」がついてくることがあります。ここは正直にお伝えします。
- ノバスコシア州は最安級(約$21,025)ですが、成績(英文成績表の平均が一定以上)を求められ、学校や地域を生徒側で選べない運用になっている場合があります。「いちばん安いから」で選ぶと、行き先が選べないという前提を後から知ることになります。
- ニューブランズウィック州は、それより少し費用が上がる代わりに、学校・地域の希望を出しやすい傾向があります。「多少払っても、行き先は選びたい」というご家庭には、こちらの方が合うこともあります。
同じ大西洋カナダでも、「安さ」と「選べる自由度」はトレードオフです。 どちらを優先するかは、お子さんの性格と、ご家庭が何を大事にするかで変わります。
エリア②:ウィニペグ(マニトバ州)― 冬は寒い。でも生活はできる
マニトバ州の州都ウィニペグは、都市でありながら費用が割安という珍しいエリアです。人口約70万人、カナダで8番目に大きな都市。それでいて、以下のような教育委員会が年間約20,850〜22,800ドルで留学生を受け入れています。
- リバー・イースト・トランスコナ教育委員会(約$20,850)
- セント・ジェームズ・アシニボイア教育委員会(約$22,800・入学要件なし)
- ウィニペグ教育委員会
- ペンビナトレイルズ教育委員会
- ルイス・リエール教育委員会
ウィニペグから少し離れると、さらに費用が下がる選択肢もあります。マウンテンビュー教育委員会(ドーフィン/ウィニペグの西3.5時間・約$21,800・入学要件なし)、**ロードセルカーク教育委員会(セルカーク/人口1万人・ウィニペグから30分・生活費が低く多文化)**など、小さく穏やかな街が並びます。
正直に、いちばんの懸念にも触れておきます。冬の寒さです。 私が視察でウィニペグを訪れたとき、1月はマイナス20度を下回る、その年でいちばん寒い週にあたりました。数字だけ見ると身構えます。ただ、そこに70万人が普通に暮らしています。建物にはセントラルヒーティングが行き渡っていて、室内は名古屋の家よりむしろ暖かいくらいでした。寒さは「外にいる時間」の問題であって、生活が成り立たないという話ではありません。とはいえ、寒さや日照時間の短さが本当に苦手なお子さんには、無理には勧めません。ここも、性格との相性で判断すべきところです。
エリア③:アルバータ州の小都市 ― ロッキーの東側の、静かな町
ロッキー山脈の東側に広がるアルバータ州の小都市も、費用を抑えやすいエリアです。カルガリー空港から車で2時間半〜3時間ほどの、落ち着いた町が中心になります。
- バトルリバー教育委員会(カムローズ・約$20,500・成績や英語の入学要件なし) ― 大都市へのアクセスもある郊外型。
- ホライゾン教育委員会(約$20,135) ― カナダロッキーやユネスコ関連の自然が近く、空気と水のきれいさで知られる地域。
- ホーリースピリット・ローマンカソリック教育委員会(レスブリッジ・約$22,650) ― 人口10万人のレスブリッジ、テイバー、ピンチャークリーク、ボウアイランドなどをカバー。
- メディシンハット(公立・カトリック両教育委員会) ― 人口6万人の小都市で、英語に浸りやすい環境。
年間費用はおおむね約20,100〜22,800ドルの範囲。都市部の刺激は少ない代わりに、日本人が少なく、英語漬けになりやすいのが最大の魅力です。
エリア④ サスカトゥーン
サスカチュワン州最大都市サスカトゥーンの公立高校は、サスカトゥーン留学生プログラムで2027–2028年度の学費・ホームステイ込みの総額がC$25,250(10ヶ月)。ウィニペグと同じ価格帯で、日本人はさらに少なめです。
為替で、費用は毎年動く
費用の話をするうえで、避けて通れないのが為替です。カナダの学費はカナダドル建てなので、支払うタイミングのレートで、日本円での負担は大きく変わります。
たとえば同じ授業料でも、1CAD=92円なら約163.8万円、1CAD=83円なら約147.7万円。その差は約16万円――ちょうど航空券1枚分です。学区選びで数十万円を比べる一方で、為替だけで航空券1枚が消えたり浮いたりします。
だから、費用は「一点」ではなく「幅」で見てください。 本記事の円換算(1CAD=110円)も、あくまで2026年7月時点の目安です。
「安い=危ない」ではありません
費用の安いエリアを紹介すると、必ず「治安は大丈夫ですか?」と聞かれます。結論から言えば、田舎や小都市は、むしろ治安が良いことが多いです。「安い=危ない」という思い込みは、多くの場合あてはまりません。
そして、安いエリアにはもうひとつの価値があります。日本人が少ないこと。メトロバンクーバーやトロントには日本人留学生が集まりがちですが、大西洋カナダやマニトバ、アルバータの小都市では、日本語に逃げ場がない分、英語に浸りやすい。費用を抑えながら、英語環境としてはむしろ恵まれている――これが地方エリアの隠れた強みです。
ただし裏返せば、日本語のサポートが身近にないということでもあります。渡航前の英語準備が、都市部以上に効いてきます。
費用は「安い地域を選ぶ」以外の削り方もある
最後に、いちばんお伝えしたいことを。費用の最適化は、「安い地域を選ぶ」だけではありません。
たとえば、年間の学区差で浮いた金額を、そのまま渡航前の英語準備に前倒しするという考え方があります。総額は同じでも、入学時点の英語力が1年目の充実度を決め、1年目が留学全体を決めます。同じお金でも、使う場所を変えるだけでリターンが変わる――これは「どこが安いか」とは別の、「同じ総額をどう配分するか」という設計の話です。
正直なトレードオフも申し上げます。準備に投じたお金が、必ず英語力に変わるとは限りません。本人が動かなければ、その投資は消えます。 安い学区が万人に正しいわけではないのと同じで、配分の最適解もご家庭ごとに違います。
(費用の内訳の各論は「カナダ高校留学の費用・全体ガイド」で、学校タイプ別の価格帯は「公立か私立か」で、留学年数による規模感は「1年か卒業か」で、それぞれ詳しく解説しています。)
よくあるご質問(FAQ)
Q. カナダ高校留学で、いちばん安いのはどこですか? A. 大西洋カナダ4州(ノバスコシア・ニューブランズウィック・プリンスエドワード島・ニューファンドランド)、ウィニペグ圏、アルバータ州の小都市の3エリアが最安級です。年間約20,100〜22,800ドル(約222万〜251万円/1CAD=110円)が目安です。
Q. 200万円でカナダ高校留学はできますか? A. 授業料・ホームステイ・保険だけなら年間200万円台前半に収まる学区もありますが、航空券・生活費・お小遣いを含めた総額では、最安の大西洋カナダでも約275万〜285万円が現実的な下限です。「年間200万円ちょうど」で全部まかなうのは難しいとお考えください。
Q. 安い地域は治安が心配です。 A. 田舎や小都市はむしろ治安が良いことが多く、「安い=危ない」はあてはまらないのが実際です。ただしお子さんの性格との相性はありますので、個別にご相談ください。
Q. 安い地域を選ぶ以外に、費用を抑える方法はありますか? A. あります。同じ総額を「どこに使うか」で組み替える方法(渡航前の英語準備への前倒しなど)です。地域を変えずに満足度を上げる設計も可能です。ご家庭の状況に合わせて一緒に考えます。
Q. カナダドルの為替は、費用にどれくらい影響しますか? A. 大きく影響します。1CAD=92円と83円では、同じ授業料でも年間約16万円(航空券1枚分)変わります。費用は一点ではなく「幅」で見積もってください。
カナダ中学・高校の費用について、お気軽にご相談ください
キャタリストカナダは、特定の学校や学区を売り込むことはしません。「いちばん安いのはどこか」ではなく、「お子さんとご家庭にいちばん合うのはどこか」を、費用と自由度のバランスまで含めて一緒に探すのが私たちの役割です。
安いエリアが向いているご家庭も、少し予算を足して選択肢を広げた方が幸せなご家庭も、どちらもあります。まずは一度、状況を伺わせてください。売り込みはしません。
