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留学生がカナダのサッカークラブでプレーするには ― FIFAの未成年ルールと登録手続き

水谷通孝

カナダ在住・カナダ高校留学エージェント歴20年(2006年創業)。2025年にカナダへ移住し、自身の子どもたちもカナダの学校に通っています。現地在住の立場から、費用・学校・生活の最新情報を直接お伝えします。

こんにちは。キャタリストカナダの水谷です。

「カナダの高校に行っても、サッカーは続けたい。学校のチームだけでなく、地域のクラブでもプレーできますか?」

サッカーをしているお子さんのご家族から、よくいただく質問です。

先に結論をお伝えします。留学生でも、カナダのクラブでプレーすることはできます。 ただし、18歳未満の選手が国をまたいでクラブに登録することは、FIFA(国際サッカー連盟)のルールで原則として禁止されています。留学生は、その例外の一つ「学業目的の交換留学」に当てはまる場合に、承認を受けてから登録します。

そして、ここが日本ではあまり知られていない点です。この例外が使えるのは、クラブに登録する期間が1年以内の場合だけです。1年間の留学なら問題になりにくい一方で、3年間の卒業留学では、最初の年からクラブに登録できるとは限りません。

このページでは、留学生がカナダでサッカーを続けるために知っておきたいルールと手続きを、順番にご説明します。

▶ 学校選びも含めた全体像はサッカーで選ぶカナダ高校留学ガイドをご覧ください。

まず結論 ― 押さえておきたい4つのポイント

  1. 学校のチーム(部活)には、FIFAの手続きは要りません。 FIFAのルールが関係するのは、学校の外のクラブだけです。
  2. 18歳未満でクラブに登録するには、事前の承認が必要です。 10歳以上が対象で、日本でクラブに登録したことがない子どもも含まれます。
  3. 留学生が使える例外は「学業目的の交換留学」です。 クラブに登録できる期間は1年まで、登録先は純粋なアマチュアのクラブに限られます。
  4. 承認が下りるまで、試合には出られません。 承認まで数週間〜数か月かかることがあり、承認される保証もありません。

学校のチームとクラブは、別のしくみ

カナダでサッカーをする場は、大きく分けて3つあります。学校のチーム(部活)、学校のサッカーアカデミー(授業)、そして学校の外の地域クラブです。

このうち、学校のチームは州の学校体育連盟(BC州ならBC School Sports)の管轄です。留学生が出場するための条件は州や連盟ごとにありますが、FIFAのクラブ登録とは関係ありません。たとえばBC School Sportsは、留学生について「最低5か月または1学期の在籍」を条件の一つにしています。

一方、地域のクラブは、州のサッカー協会(BC Soccer、Ontario Soccer、Manitoba Soccerなど)とカナダサッカー協会(Canada Soccer)を通じて、FIFAのルールの下で運営されています。だから、クラブに登録するときだけ、FIFAのルールが関係するのです。

▶ 学校のチームや州大会のしくみはカナダの高校サッカーはどうなっている?で詳しく解説しています。

FIFAのルール ― 18歳未満の国際移籍は「原則禁止」

FIFAの「選手の地位および移籍に関する規則(RSTP)」の第19条は、18歳未満の選手の国際移籍を原則として禁止しています。目的は、才能のある子どもが、サッカーを理由に親元から引き離されて海外に連れて行かれるのを防ぐことです。

このルールには、例外がいくつか定められています。カナダサッカー協会がアマチュアクラブについて審査する例外は、次の4つです。

例外内容日本からの留学生
第19条2項(a)両親が、サッカーと関係のない理由(仕事など)でカナダに移り住む親子留学・家族の移住なら該当の可能性
第19条2項(c)選手もクラブも国境から50km以内(カナダとアメリカの国境)該当しない
第19条2項(d)人道上の理由で、親と離れて逃れてきた該当しない
第19条2項(e)学業のために、親と離れて一時的に交換留学をする単身の高校留学はここ

ポイントは3つです。

  • 対象は10歳以上です。10歳未満は、この手続きの対象外です。
  • 日本でクラブに登録したことがない子どもも対象です。カナダで初めて登録する場合でも、外国籍の未成年として同じ審査を受けます。
  • サッカーの実力や国籍は、審査に関係しません。上手だから通る、という手続きではありません。

留学生の例外「学業目的の交換留学」― 4つの条件

単身でカナダの高校に留学する場合に使うのが、第19条2項(e)の例外です。カナダサッカー協会のガイドでは、次の条件が示されています。

  1. 学業が引っ越しの一番の理由であること。 親と離れて、一時的にカナダで学ぶ。
  2. 交換留学(留学プログラム)であること。 日本に戻ることの確認を求められます。
  3. クラブへの登録は1年まで。 18歳になるまで、または学校のプログラムが終わるまでの期間が、1年を超えてはいけません。期間が終わると、協会が登録を抹消します。
  4. 登録先は「純粋なアマチュアクラブ」だけ。 プロのチームを持たず、プロクラブと法的・財政的・実質的なつながりもないクラブに限られます。

条件4により、プロクラブの下部組織や、プロクラブと提携関係にあるクラブは対象外になる可能性があります。MLSクラブのアカデミーが留学生を受け入れないのも、この背景があります。登録を考えているクラブがプロクラブとつながりを持っていないかは、申し込む前にクラブに確認しましょう。

いちばん大事な注意 ― 卒業留学では、最初の年からクラブに登録できるとは限らない

条件3の「1年まで」が、留学の形によって大きな違いを生みます。

カナダサッカー協会のチェックリストでは、この例外に当てはまるのは次の3つの場合です。

  • 留学もクラブへの登録も、1年以内
  • 留学は1年を超えるが、本人が1年以内に18歳になる
  • 留学は1年を超えるが、プログラムの残りが1年を切っている

これを留学の形にあてはめると、次のようになります。

留学の形クラブ登録の見通し
1年留学(日本の高校に在籍したまま)例外の条件に合いやすい。いちばんスムーズな形
卒業留学(Grade 10から3年間など)最初の1〜2年は、この例外の条件に合わない。最後の1年(または18歳になる1年前)から当てはまる
到着時に17歳1年以内に18歳になるため、条件に合いやすい
18歳以上未成年の手続きは不要。日本で選手登録があれば、国際移籍証明書(ITC)の手続きだけ

例外に当てはまらない未成年については、カナダサッカー協会がFIFAに個別に申請することはできます。ただし協会は、結果を保証できないこと、多くの書類が必要で時間がかかること、FIFAから追加の書類を何度も求められるのが珍しくないことを、はっきり書いています。

また、例外(e)では「日本に戻ること」の確認が求められます。高校卒業後にカナダの大学やカレッジへ進む予定がある場合、この点がどう扱われるかは、申請の前にクラブを通じて確認が必要です。

つまり、「卒業留学で、1年目からクラブでプレーする」計画は、最初から前提にしないほうが安全です。 卒業留学のお子さんは、最初の1〜2年は学校のチームやアカデミーを中心に、クラブは条件がそろう年から、と考えておくと、計画が崩れません。

日本で選手登録をしていた場合 ― 国際移籍証明書(ITC)

日本で高校のサッカー部やクラブチームに所属していた場合、日本サッカー協会(JFA)に選手登録されているのが一般的です。

10歳以上で、直前の登録が日本など別の国の協会にある選手は、カナダで登録する前に**国際移籍証明書(ITC)**が必要です。カナダサッカー協会が、FIFAのシステム(TMS)を通じて日本サッカー協会にITCを請求します。家族がJFAに直接申請するものではありません。

日本側でしておきたいのは、所属していたチームからの登録の抹消です。BC州の教育委員会(アボッツフォード)の案内でも、申請の前に母国のクラブの登録を抹消しておくよう書かれています。日本の所属チームに、カナダのクラブに登録する予定であることを伝え、手続きを相談してください。

なお、18歳以上のアマチュア選手の場合、カナダサッカー協会が請求してから72時間以内に日本側から返事がなければ、仮の登録ができるしくみもあります。

手続きの流れ ― 5つのステップ

ステップ1:学校とホームステイが決まってから、クラブに連絡する

申請に必要な書類の中に、カナダの学校の在籍証明と時間割、ホストファミリーの同意があります。そのため、手続きは学校とホームステイ先が決まってからになります。

申請は、選手や家族がするものではなく、受け入れるカナダのクラブが起点です。各クラブも「カナダサッカー協会には直接連絡しないでください」と案内しています。質問は、まず登録したいクラブに送りましょう。

ステップ2:書類を集める

下の「必要な書類」の表を参照してください。日本で準備できるものは、渡航前に用意しておくと、到着後の手続きが早く進みます。

ステップ3:クラブ → 州協会 → カナダサッカー協会へ

クラブが書類を確認し、「クラブの宣言書」(クラブが選手と初めて接触した経緯などを書く書類。クラブが作ります)を添えて、州協会に提出します。州協会からカナダサッカー協会に送られ、審査が進みます。

ステップ4:承認を待つ(試合には出られない)

クラブの案内では、承認まで「数週間から数か月」とされています。書類の不足や食い違いが、遅れの一番の原因です。

承認が下りるまで、試合には出られません。練習への参加も、クラブによっては制限されます。

ステップ5:シーズンが終わったら、登録を抹消する

例外(e)の登録は1年までです。シーズンが終わって日本に戻るときは、クラブを通じて登録の抹消を依頼します。

必要な書類

カナダサッカー協会のチェックリスト(例外(e))と、BC州のクラブ・教育委員会の案内をもとにまとめました。最終的な書類は、登録するクラブの指示に従ってください。

書類準備のコツ
本人のパスポート(顔写真のページ)学生ビザの申請で使うものと同じ
本人の出生証明日本では戸籍謄本と、その英訳。両親との関係(親子関係)が分かることが必要
両親のパスポート両親とも。片方しかない場合はクラブに相談
留学プログラムの書類教育委員会の留学生プログラムの案内、申込書(本人・保護者の署名)
日本の学校からの英文レター交換留学であること、日本に戻ることの確認。1年留学なら在籍校に依頼
カナダの学校の在籍証明在籍期間が分かるもの。教育委員会・学校に依頼
カナダの学校の時間割1週間の時間割
カストディアン(後見人)の宣言書学生ビザの申請で作るカストディアン宣言書が使える
保護者の同意書両親の署名
ホストファミリーの同意書ホストファミリーの署名
クラブの宣言書クラブが作成する

書類は新しいものが求められます。FIFAの申請ガイドでは、アマチュアクラブの場合、多くの書類は提出前6か月以内に発行されたものが目安とされています。戸籍謄本などは、渡航の直前に取ると安心です。

シーズンの違い ― 州によって「留学の時期と重なるか」が変わる

もう一つ、計画に直接影響するのが、クラブのシーズンです。カナダは州によって、サッカーのシーズンがまったく違います。

地域シーズンの例留学生にとっての意味
BC州州の上位ユースリーグ(BCSPL)は9月〜6月(2025年9月から変更)学校の1年とほぼ重なる。承認を待って秋〜冬から合流しやすい
マニトバ州(ウィニペグ)地域リーグの屋外シーズンは5月初め〜6月末、上の年代は7月にプレーオフ。冬は屋内サッカー屋外シーズンは学年の終わり。7月まで残るかで、プレーできる期間が変わる
オンタリオ州冬(屋内)から夏(屋外)へ続く年間の登録が多い夏が本番。帰国の時期との兼ね合いを確認

9月に到着して1年間留学する場合、BC州なら学年の途中からでもシーズンの中心に参加できます。一方、屋外シーズンが夏のマニトバ州やオンタリオ州では、冬の屋内サッカーで仲間をつくり、5月からの屋外シーズンに臨む、という組み立てになります。

費用の目安

地域のクラブの費用は、レベルによって大きく変わります。

ウィニペグの地域リーグ(コミュニティセンターのチーム)の例では、2026年の屋外シーズンで、U17・U18の参加費が210ドル、これとは別にマニトバ州サッカー協会の登録料が54ドルでした。地域のレクリエーションに近いリーグなら、この程度で始められます。

州の上位リーグに出る競技クラブ(BCSPLやオンタリオのOPDLなど)は、トライアウトがあり、費用もこれより高くなります。金額はクラブごとに違うため、検討しているクラブに直接確認します。

学生ビザで、クラブでプレーしてもいいのか

アマチュアとしてクラブでプレーすることは、一般に「仕事」にはあたらないため、学生ビザ(就学許可)の留学生も参加できます。報酬を受け取ってプレーする場合は話が変わるので、注意してください。

クラブの手続きは、ご家族の手で進めるもの

学校の外のクラブへの登録は、私たち留学エージェントも、学校や教育委員会も、基本的にはサポートの範囲外です。申し込み、費用、保険、練習や試合への送迎は、ご家族とホストファミリーの協力で進めることになります。

私たちがお手伝いできるのは、学校選びの段階で「その地域にどんなクラブがあり、シーズンがいつで、送迎ができそうか」を一緒に調べること、そして留学の形(1年か、卒業留学か)によってクラブ登録の見通しがどう変わるかを、最初に整理することです。

トライアウトや承認がうまくいかなくても、留学は終わりではありません

正直にお伝えします。競技レベルの高いクラブにはトライアウトがあり、合格しない人もいます。FIFAの承認も、保証されたものではありません。卒業留学なら、最初の年はクラブに登録できないこともあります。

だからこそ、学校選びでは「もしクラブでプレーできなくても、この学校ならサッカーができる」と言える場所を選んでおくことが大切です。

  • 学校のチーム(部活)は、FIFAの手続きが要りません。学校の代表として州大会を目指せます
  • サッカーアカデミーのある学校なら、授業の中で毎日ボールを蹴れます
  • 冬の屋内サッカーや、学校の友だちとの草サッカーも、立派な居場所になります

私たちにできるのは、お子さんがやりたいことをできるように、リサーチを手伝うことです。合否や承認を約束することはできません。

やりたいことができなくても、良い留学はできます。それも含めて、一緒にプランを立てましょう。

よくある質問

Q. 日本でクラブに入ったことがありません。それでも手続きは必要ですか? A. はい。10歳以上で外国籍の未成年がカナダのクラブに初めて登録する場合も、同じ審査の対象です。カナダサッカー協会が、日本での登録がないことを確認したうえで審査します。

Q. 学校のサッカー部に入るのにも、FIFAの承認は要りますか? A. 要りません。学校のチームは州の学校体育連盟のしくみで、FIFAのクラブ登録とは別です。学校のチームに出場するための条件(在籍期間など)は、州の連盟ごとに決まっています。

Q. 3年間の卒業留学です。1年目からクラブでプレーできますか? A. 学業目的の交換留学の例外は、クラブへの登録が1年以内の場合に限られるため、1年目から当てはまるとは限りません。最後の1年(または18歳になる1年前)からは条件に合いやすくなります。それ以前は、カナダサッカー協会を通じた個別の申請になり、結果は保証されません。

Q. 申請してから、どのくらいで試合に出られますか? A. クラブの案内では、数週間から数か月です。承認までは試合に出られないため、シーズンの開始に合わせたいなら、学校とホームステイが決まりしだい、早めにクラブに連絡するのが近道です。

Q. プロクラブのアカデミーに入れますか? A. 原則として難しいと考えてください。留学生が使える例外は、登録先が「純粋なアマチュアクラブ」であることが条件です。MLSクラブのアカデミーも、カナダ国籍・永住者が対象です。

Q. 申請が通らなかったら、留学は失敗ですか? A. 失敗ではありません。学校のチームやアカデミーなど、FIFAの手続きと関係なくサッカーができる場があります。だからこそ、クラブに頼らなくてもサッカーを続けられる学校を選んでおくことが大切です。

おわりに

FIFAのルールは、子どもたちを守るためのものです。手続きは少し大変ですが、条件と流れを知っていれば、慌てる必要はありません。大切なのは、留学の形(1年か、卒業留学か)と、行き先の州のシーズンを、学校を決める前に一緒に考えておくことです。

留学プランで大切なのは、パンフレット(学校情報)からのスタートではなく、プロフィール(留学生の詳細)からのスタートです。留学を希望されるお子さんについて詳しくお話をうかがい、サッカーとそれ以外の部分のバランスを取りながら、ベストの選択をお手伝いします。

「カナダでもサッカーを続けさせたい」——そのお話を、ぜひお聞かせください。

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出典(2026年10月確認)

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水谷通孝

カナダ在住・カナダ高校留学エージェント歴20年(2006年創業)。2025年にカナダへ移住し、自身の子どもたちもカナダの学校に通っています。現地在住の立場から、費用・学校・生活の最新情報を直接お伝えします。

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