興味&好きなことで選ぶ

Yale高校のベースボールアカデミー(アボッツフォード)― 時間割の半分を、野球に使う

水谷通孝

カナダ在住・カナダ高校留学エージェント歴20年(2006年創業)。2025年にカナダへ移住し、自身の子どもたちもカナダの学校に通っています。現地在住の立場から、費用・学校・生活の最新情報を直接お伝えします。

カナダの高校で野球を続けたいというご相談で、必ず出てくる質問があります。

「どのくらいの時間、野球ができるんですか」

BC州の野球アカデミーは、学校によって差がとても大きいところです。週に1コマの学校もあれば、時間割の半分を使う学校もあります。

BC州アボッツフォード学区(SD34)のYale Secondary School にあるベースボールアカデミーは、後者です。

  • 9月の始業日から1月まで、約80回×2時間のトレーニング
  • 体育(P.E.)とストレングス&コンディショニングの2科目分の単位が出ます
  • セメスター1の4ブロックのうち、2ブロックが野球。残り2ブロックが学業科目
  • 費用は$3,000(2026年9月時点で公式サイトに掲載の金額)
  • 留学生も対象です

先にお伝えすると、カナダの高校野球に甲子園のような全国大会はなく、州によって仕組みがまったく違います。全体像は野球で選ぶカナダ高校留学ガイドに、仕組みの解説はカナダの高校野球はどうなっている?にまとめました。

▶ 受け入れ元はアボッツフォード教育委員会 留学生プログラムの紹介に、地域の全体像はバンクーバー近郊の教育委員会BC州 高校留学の完全ガイドをご覧ください。

どんな子に向くか

学校自身が、対象をはっきり書いています。

「野球に情熱を持っている、あるいは進学先(カレッジ・大学)でプレーすることを目指しているアスリートのためのプログラム」

つまり「続けたい」より一段上、「その先を見ている」子のためのプログラムです。

向くのは、こういうお子さんです。

  • すでに野球が生活の中心にあって、留学してもそれを変えたくない
  • カナダやアメリカの大学・カレッジで野球を続ける可能性を考えている
  • 半年間、集中して取り組むことに抵抗がない

逆に、向かないお子さんもはっきりしています。

  • 野球はほどほどでいい子。時間割の半分を使うので、他の科目を選ぶ余地が減ります
  • 後期(2月から6月)に入学する子。9月から1月までのプログラムなので、その年度には参加できません
  • 留学の計画が直前になる子。デポジットの期限が、入学の前年の6月15日です

時間割の半分が、野球です

このアカデミーのいちばんの特徴は、授業時間の中に野球が入っていることです。放課後の部活ではありません。

公開されている時間割はこうなっています。

時間月・火・金水・木
8:15 – 9:30野球学業科目
9:35 – 10:55野球学業科目
10:55 – 11:35昼食昼食
11:40 – 13:00学業科目野球
13:05 – 14:25学業科目野球

毎日、野球が2ブロック。午前と午後が曜日で入れ替わります。

そしてこの時間に対して、正規の単位が出ます。体育(P.E. 9〜12)と、ストレングス&コンディショニング(9〜12)の2科目分。日本の部活と決定的に違うのはここです。練習した時間が、そのまま卒業単位になります。

季節で場所が変わります

学校の説明によると、最初の9〜10週間はDelair Parkという球場で、天候が許すかぎり外での練習に充てられます。

11月に入ると切り替わります。週3日はDelair Parkで野球の専門トレーニング、週2日は校内のウェイトルームと教室。カナダの秋から冬にかけて、屋外でできることが減っていく——その現実に合わせた組み方です。

教えているのは、どんな人か

ヘッドインストラクターはKevin Nicholson氏です。

  • 1997年、MLBドラフト1巡目でサンディエゴ・パドレスに指名
  • カナダ人として史上初の1巡目指名選手
  • 2000年にパドレスでメジャー出場。プロ野球歴10年
  • 2004年アテネ五輪、2006年WBCのカナダ代表
  • BCマイナーベースボールで最優秀コーチ賞を2回受賞

そしてもうひとつ、書いておくべき事実があります。

Nicholson氏は、BC州最高峰リーグ(BCPBL)のAbbotsford Cardinalsの監督でもあります。そのCardinalsは、2026年8月にBCPBLプレミアディビジョンの州王者になりました。球団史上3度目です。

そしてCardinalsの本拠地は、アカデミーが練習に使うのと同じDelair Parkです。

同じ球場で、同じ人が教えている。これは事実として確認できます。

ただし、正直に線を引きます。「Yaleのアカデミーに入ればCardinalsでプレーできる」ということではありません。クラブへの加入は別の手続きと選考です。学校とクラブの提携についても、公式な発表はありません。近いところにあるという事実と、入れるかどうかは別の話です。

勉強が落ちたら、野球は止まります

このアカデミーで、私がいちばん良いと思っている点です。

学校の説明に、こう書かれています。

「明確なGPA(成績)の基準は設けません。ただし、課題の未提出や、教員からの素行についての報告があれば、学業プロベーション(観察処分)となります。プロベーション中は、追って通知があるまで、アカデミーの活動から外されます」

成績で足切りはしない。でも、やるべきことをやらなければ、野球ができなくなる。

数字の基準を作らないのは、留学生にとってはむしろ良い設計です。英語が母語でない生徒が、最初の学期に高い平均点を取るのは簡単ではありません。このアカデミーが見ているのは点数ではなく、姿勢のほうです。課題を出したか。授業でどうふるまったか。

日本のご家庭からよくいただくご心配に、「野球ばかりになって勉強がおろそかになるのでは」というものがあります。この学校は、それを制度で防いでいます。

費用と、申し込みの時期

アカデミー費は,000

支払いは分かれています。

時期金額
入学の前年6月15日までデポジット $300
9月1日$900
10月1日$900
11月1日$900

※2026年9月時点で公式サイトに掲載されている金額です。年度の表記がないため、お申し込みの前に最新の金額を確認してご案内します。

注目していただきたいのは、いちばん上の行です。

デポジットの期限が、入学する前の年の6月15日。2027年9月に入学したいなら、2027年6月15日が目安になります。留学の手続きと並行して、春のうちに動く必要があります。

留学そのものの費用(2027-28年度・アボッツフォード学区)

項目金額
出願料$200
ホームステイ申込料$450
プログラム費(授業料・医療保険・教科書)$17,500
ホームステイ費$12,400
後見人(学区ホームステイ利用者)無料
空港送迎$220
合計$30,770

この学区は、医療保険がプログラム費に含まれています。別立てで請求する学区もあるので、比較するときは注意が必要です。

アカデミー費$3,000を加えると、合計はおよそ$33,770が目安になります。航空券、お小遣い、地域クラブに入る場合の費用は別途かかります。

申し込みには、事前の相談が必要です

学区の留学生プログラムは、スポーツアカデミーについてこう案内しています。

「出願の前に、私たちのオフィスに配置/配属についてご相談ください」 「スポーツアカデミーには別途の申し込みが必要で、トライアウト(選考)が課される場合があります」

留学の申し込みをすれば自動的に入れる、というプログラムではありません。申し込みは留学の出願と同時に出す必要があり、選考がある可能性も公式に示されています。

ここは、私たちが最初に学区へ確認する部分です。枠があるのか、選考があるのか、留学生にもデポジットの期限が同じように適用されるのか。「たぶん大丈夫」で進める話ではありません。

9月から1月まで。では、春はどうするのか

このアカデミーはセメスター1(9月〜1月)だけです。2月から6月のあいだ、時間割の中に野球はありません。

これは弱点のようでいて、実はうまく噛み合っています。

アボッツフォードの地域クラブ(Abbotsford Angels Hardball Association)の春シーズンは、4月から6月。つまりアカデミーが終わったあとに、クラブのシーズンが始まります。

時期何をするか
9月〜1月学校のアカデミーで、週5日
4月〜6月地域クラブで、試合をする

秋と冬に仕上げて、春に戦う。BC州には学校対抗の高校野球がないので、試合をする場は地域のクラブになります。この学校の日程は、そこから逆算されているように見えます。

地域クラブの登録費は、18Uで$350、15Uで$320ほど(2026年春シーズン)。日本の感覚からすると、手ごろだと感じられるはずです。

ただし、ここは正直にお伝えします。

学校の外のクラブは、私たち留学エージェントと教育委員会のサポート範囲の外です。加入の手続き、費用の支払い、保険、そして送迎。すべてご家庭の責任になります。ホストファミリーに毎週の送迎を期待することはできません。

Yale高校について

  • アボッツフォード市内にある、Grade 9〜12の公立高校。1971年創立
  • 生徒数は約1,250人
  • チーム名はLions。制服はありません
  • ELL(英語支援)あり。学区は「入学審査で英語力は問わない」と明記しています
  • セメスター制。1日4ブロック、1コマ80分

開講科目は250以上あり、AP(大学レベルの科目)も用意されています。視覚芸術・演劇・音楽のプログラムが充実していて、毎年ミュージカルの公演があります。約200人が参加するリーダーシッププログラムも特徴です。

スポーツアカデミーは、男子の野球と女子のソフトボールの2つ。どちらもセメスター1の開講です。

アボッツフォードはバンクーバーから東へ向かったフレーザーバレーの街で、大都市の慌ただしさがない一方、生活に必要なものは揃っています。学区は留学生の受け入れに積極的で、全校でESLを提供しています。

他の選択肢と比べると

もっと長く、通年で続けたいなら このアカデミーは9月から1月までです。1年を通して野球のある生活を送りたいなら、バンクーバー島のBelmont高校(年$770・通年・初心者歓迎)や、Lambrick Park高校(年$1,776・四季通年)があります。

同じくらい時間を投じたいなら Langley Secondary(毎日159分・8単位・年$2,000)も、時間割の中に大きく野球が入る形です。カナダ最高峰のクラブが学校と提携して運営している点が違います。

費用を抑えたいなら 西ケロウナのMount Boucherie高校(年$250・申し込み不要・4単位)なら、通常のコース選択で野球が取れます。

同じ「半期集中型」を比べるなら ケロウナのラトランド高校のベースボールアカデミー(年$1,200・定員26名)も、9月から1月末までの半期型です。違いは時間の量。Yaleが時間割の半分を使うのに対し、ラトランドは半期で約100時間。そして費用も、$3,000と$1,200で差があります。

送迎の心配をせずに、試合をたくさんしたいなら BC州にいる限り、試合はクラブです。アルバータ州の全寮制Vauxhall Academy of Baseball(シーズン75試合以上)なら、練習も試合も寮生活も同じ場所で完結します。

よくある質問

Q. 留学生でも参加できますか? A. はい、対象になっています。ただし出願の前に、学区の留学生プログラムのオフィスに相談することが求められています。別途の申し込みが必要で、トライアウトが課される場合もあると公式に案内されています。留学の申し込みをすれば自動的に入れるわけではありません。私たちが学区に確認したうえでご案内します。

Q. 英語力に自信がありませんが、大丈夫でしょうか? A. この学区は「入学審査で英語力は問わない」と明記しており、全校でESL(英語支援)を提供しています。ただしアカデミーは授業時間の半分を占めるので、残りの2科目で学ぶ内容は英語です。そして課題を出さなければアカデミーの活動から外されます。英語の準備は、野球の準備と同じくらい大事だとお考えください。

Q. 費用はいくらかかりますか? A. アカデミー費が$3,000(前年6月15日までにデポジット$300、9月・10月・11月に各$900)。留学そのものの費用が2027-28年度で$30,770(授業料・医療保険・教科書・ホームステイ・空港送迎込み)。合わせておよそ$33,770が目安です。航空券とお小遣い、地域クラブに入る場合の費用は別途かかります。

Q. いつまでに動けばいいですか? A. デポジットの期限が、入学する前の年の6月15日です。2027年9月の入学なら2027年6月15日。留学の出願手続きと並行して進める必要があるため、逆算するとその前の年の秋から冬にはご相談いただきたい時期になります。

Q. 1月入学や2月入学でも参加できますか? A. その年度は参加できません。9月から1月までのプログラムなので、半期からの留学では時期が合いません。野球を目的にこの学校を検討されるなら、9月入学です。

Q. アカデミーで試合はしますか? A. BC州には学校対抗の高校野球がありません。試合をする場は、地域のクラブになります。このアカデミーはトレーニングのプログラムです。アボッツフォードの地域クラブは春(4月〜6月)がシーズンなので、アカデミーが終わったあとに試合の季節が来る形になります。

Q. 日本語で相談できるスタッフはいますか? A. 公式には案内がありません。学校のサイトに指導者の一覧はありますが、使用言語についての記載はないため、こちらで断定することはできません。ご希望があれば、学区に直接確認してお答えします。

Q. 女子でも参加できますか? A. このベースボールアカデミーは男子が対象で、女子にはソフトボールアカデミーが同じYale高校にあります。こちらもセメスター1の開講です。費用など詳しい条件は、確認してご案内します。

Q. 練習場所への移動はどうなりますか? A. 練習拠点のDelair Parkは、学校と同じ通り沿いにあります。ただし移動の手段(学校が手配するのかどうか)について公式の案内がないため、確認してお伝えします。

おわりに ― 半年で、はっきり変わる形

このアカデミーは、はっきりしたプログラムです。

9月から1月まで、毎日2ブロック。約80回、1回2時間。教えるのは、MLBのドラフト1巡目に指名された経歴を持つ指導者。練習場所は、州王者クラブと同じ球場。そして課題を出さなければ、野球から外されます。

曖昧なところが、ほとんどありません。

そのぶん、覚悟も要ります。時間割の半分を使うので、他の科目を選ぶ余地は減ります。半年で終わるので、春は自分でクラブを探すことになります。前の年の6月には、もう動き始めていなければなりません。

「野球のために時間を使いたい」とはっきり言えるお子さんには、これ以上ないくらい噛み合う形だと思います。逆に、「なんとなく続けられれば」というご希望なら、もっと負担の軽い学校があります。

留学プランで大切なのは、パンフレット(学校情報)からのスタートではなく、プロフィール(留学生の詳細)からのスタートです。留学を希望されるお子さんについて詳しくお話をうかがい、野球とそれ以外の部分のバランスを取りながら、ベストの選択をお手伝いします。

「うちの子は、どこまで野球に時間を使えるだろうか」——そのお話をお聞かせください。

無料相談はこちらから


参考(公式情報/2026年9月確認) ※費用・受け入れ条件は年度で変わります。最終判断の前に、必ず最新の公式情報をご確認ください。私たちがお手伝いします。

【メールセミナー】子どもをカナダへ送り出す前に、読んでおいてほしいこと。(全20回)

【メールセミナー】カナダでの中学高校留学を検討する保護者が必ず知っておくべき基礎知識をまとめました。無料のメールセミナーで、カナダの教育システム、学校の選び方、手続きの進め方、そして大事な卒業要件などについて知ってください。初めての方でも安心して読んで頂けるように大事なポイントを20回のメールに分けてお送りします!

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

水谷通孝

カナダ在住・カナダ高校留学エージェント歴20年(2006年創業)。2025年にカナダへ移住し、自身の子どもたちもカナダの学校に通っています。現地在住の立場から、費用・学校・生活の最新情報を直接お伝えします。

RECOMMEND

-興味&好きなことで選ぶ