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カナダ留学に薬は持ち込める?毎日飲む薬がある子の留学──持ち込み・処方の引き継ぎ・保険の実際

水谷通孝

カナダ在住・カナダ高校留学エージェント歴20年(2006年創業)。2025年にカナダへ移住し、自身の子どもたちもカナダの学校に通っています。現地在住の立場から、費用・学校・生活の最新情報を直接お伝えします。

毎日飲んでいる薬があります。カナダ留学はできますか?

カウンセリングで、良くいただく質問です。低用量ピル、アレルギーの薬、喘息の吸入薬、皮膚科の薬。毎日の薬がある子は、珍しくありません。先に結論をお伝えします。

毎日飲む薬があっても、カナダ留学はできます。 毎月どこかに通院し続ける必要もありません。基本の形は「日本から90日分を持って行き、その間に一度だけ、現地の医療につないで処方を引き継ぐ」。これだけです。

この記事では、その具体的な流れを3つに分けて説明します。①日本からの持ち込みルール、②現地での処方の引き継ぎ方、③費用と保険の実際。カナダ留学エージェント歴20年(2006年創業)、現在はカナダに住みながらこの仕事をしています。制度の話には出典を付けました。

なお、これは手続きと制度の話です。薬そのものの調整は、必ず主治医の先生と相談してください。

日本から薬はどれだけ持ち込める?──90日ルール

結論:処方薬は「90日分」まで持ち込めます。

カナダ保健省(Health Canada)のルールでは、外国からの渡航者は、自分が使う処方薬を「1治療コース分、または90日分のいずれか少ない方」まで携行できます。留学生の場合、実質「90日分」と覚えておけば大丈夫です。

条件は3つです。

  1. 薬局や病院の調剤包装のまま持って行く。 ピルケースに移し替えない。パッケージと薬の中身が一致していることが、入国時の説明のしやすさに直結します。
  2. 英文の薬剤情報を携行する。 主治医に、診断名・薬の一般名(generic name)・用量・継続の必要性を書いた簡単な英文レターを書いてもらいます。製品名は国によって違いますが、一般名は世界共通です。現地で処方を引き継ぐときにも、この一般名が効きます。
  3. 手荷物に入れる。 預け荷物は遅延・紛失があり得ます。毎日の薬は、体から離さないのが原則です。

そして、見落とされがちな重要ルールがひとつ。「足りなくなったら日本から郵送してもらう」は、使えません。 カナダの居住者が処方薬を郵便や宅配で国外から受け取ることは認められていません。90日分を持って行き、その間に現地で引き継ぐ。この設計が前提です。

ひとつだけ例外があります。向精神薬など「規制物質(controlled substances)」に分類される薬は、持ち込みが30日分までに制限され、ルールが厳しくなります。該当するかどうかは自己判断せず、主治医と、必要ならカナダ保健省の窓口で確認してください。

日本の処方箋は、カナダでは使えません

結論:現地で一度、処方を「引き継ぐ」必要があります。ただし、これは思っているより簡単です。

日本の処方箋をカナダの薬局に持って行っても、薬は出てきません。カナダの処方権を持つ人(医師、州によっては薬剤師)に、改めて処方してもらう必要があります。

引き継ぎの入り口は、主に3つです。

ウォークインクリニック。 予約なしで行ける診療所です。カナダの町にはたいていあります。英文レターと薬の現物を持って行けば、話は早い。

オンライン診療(テレヘルス)。 カナダは遠隔診療が普及しています。ホームステイ先の部屋から受診できます。

薬局の薬剤師。 ここがカナダの面白いところです。州によっては、薬剤師が一部の薬を直接処方できます。たとえばBC州では、2023年から薬剤師が避妊薬(低用量ピルを含みます)を直接処方できるようになりました。月経困難症などで低用量ピルを飲んでいる場合、医師の予約すら取らずに、薬局で引き継ぎが完結することがあります。

90日分を持参していれば、時間の余裕は十分にあります。着いてすぐ慌てて病院を探す必要はありません。生活が落ち着いた1〜2ヶ月目に、ゆっくり引き継げばいい。この「余裕」こそが、90日ルールのいちばんの価値だと私は思っています。

ひとつ正直に書いておくと、日本とまったく同じ製品が現地にあるとは限りません。同じ一般名の薬、または同じ働きの薬に切り替わることがあります。だからこそ、渡航前に主治医と「カナダで代わりになる薬」について話しておくことに意味があります。

ロキソニンは、カナダでは売っていません

結論:ロキソニンはカナダにありませんが、同じ仲間の鎮痛剤が薬局で処方箋なしで買えます。

これは、知らずに渡航して現地で困る筆頭です。日本では鎮痛剤の定番であるロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)は、カナダでは販売されていません。日本とアジアの一部でだけ流通している薬だからです。

では現地で痛み止めがないのかというと、まったくそんなことはありません。同じNSAIDsという仲間の鎮痛剤──ナプロキセン(現地名:Aleve)やイブプロフェン(現地名:Advil)──が、カナダではスーパーの薬コーナーでも買えます。特にナプロキセンは、生理痛によく使われる薬です。

段取りはこうです。ロキソニンも処方薬なら90日分まで持ち込めますから、まず持参分でつなぐ。そして渡航前に主治医に「ロキソニンが手に入らない国では、代わりに何を使えばよいか」を聞いておく。この一言があるだけで、現地での切り替えに迷いがなくなります。

日本で当たり前の薬が、海外では当たり前ではない。逆に、カナダで無料の薬が、日本では毎月お金がかかる。薬の世界は国ごとに驚くほど違います。だから「調べてから行く」が効くのです。

費用と保険の実際──3つの期間で考える

結論:州の健康保険に入るまでの数ヶ月だけ自費を見込めば、その後の診察は無料です。州によっては、薬代もかかりません。

お金の話は、期間を3つに分けると整理できます。

① 渡航直後〜州保険加入まで(数ヶ月)。 カナダは州ごとに公的健康保険があります。BC州のMSPの場合、6ヶ月以上の学生ビザ(study permit)で加入資格があり、加入まで約3ヶ月の待機期間があります。この期間の診察は自費で、ウォークインクリニックで1回1〜2万円程度が目安です。学区が用意する留学生保険もありますが、渡航前からの持病(既往症)への継続治療は対象外とする商品が多いのが実情です。ここは正直にお伝えします。ただし、持参した90日分があれば、この期間に受診が必要になるケースはそもそも少ない。「万一の1回分の診察費」を見込んでおけば十分です。

② 州保険加入後。 診察は無料になります。ウォークインも、多くのオンライン診療も、保険証(BCならBC Services Card)を見せるだけです。

③ 薬代。 ここに、知られていないけれど大きな事実があります。BC州では、処方避妊薬(大半の低用量ピルを含みます)が州の制度で無料です。 2023年に始まった制度で、州保険に入っていれば、薬剤師の処方から調剤まで、薬局で無料で完結し得ます。日本で毎月支払っていた薬代が、カナダではゼロになる。これを知って驚かれる保護者の方は多いです。※この無料制度はBC州のものです。他の州では通常の薬代がかかります(それでも州保険加入後の診察は各州とも無料です)。

渡航前にやること──5項目のチェックリスト

  1. 主治医に英文レターを依頼する(診断名・薬の一般名・用量・継続の必要性)
  2. 90日分を処方してもらい、薬局の包装のまま手荷物に入れる
  3. 主治医と「現地で代わりになる薬」について話しておく
  4. 学校・ホームステイへの健康情報の共有範囲を、家族で決めておく
  5. 到着後の段取り(州保険の申請、1〜2ヶ月目に処方引き継ぎ)をカレンダーに入れておく

よくある質問

Q. 薬はスーツケースと手荷物、どちらに入れるべきですか?

手荷物です。預け荷物は遅延や紛失があり得ます。毎日飲む薬は機内持ち込みが原則です。液体の薬も、医薬品は液体制限の例外として申告できます。

Q. 英文の書類は何が必要ですか?

主治医の英文レター1枚で足ります。記載してもらうのは、診断名、薬の一般名(generic name)、用量、継続が必要である旨。入国時の説明と、現地での処方引き継ぎの両方に使えます。

Q. カナダに同じ薬はありますか?

同じ一般名の薬は多くの場合ありますが、製品としてまったく同じとは限りません。同じ働きの薬に切り替わることもあります。渡航前に主治医と話しておくのが確実です。

Q. ホストファミリーには伝えるべきですか?

毎日の服薬があること、体調を崩したときのサインは、伝えておくことを勧めます。何をどこまで伝えるかは、お子さん本人の気持ちを聞きながら家族で決めてください。学区には健康情報の申告欄があり、緊急時はそこが機能します。

Q. ロキソニンは持って行けますか?現地でも買えますか?

処方されたロキソニンは90日分まで持ち込めます。ただしカナダでは販売されていないため、現地での買い足しはできません。同じ仲間の鎮痛剤(ナプロキセン=Aleve、イブプロフェン=Advil)が処方箋なしで買えるので、渡航前に主治医に代わりの薬を確認しておくのが確実です。

Q. 精神科の薬を飲んでいます。同じ扱いですか?

一部の薬は「規制物質」に分類され、持ち込みが30日分までになるなどルールが厳しくなります。薬の名前で扱いが変わるため、必ず主治医に確認し、必要ならカナダ保健省の窓口に問い合わせてください。ここは自己判断しないでください。

まとめ──薬は、留学を諦める理由にはなりません

毎日の薬があることは、留学の障害ではありません。設計の項目がひとつ増えるだけです。90日分を持って行く。英文レターを1枚用意する。落ち着いた頃に、現地で一度引き継ぐ。やることは、これだけです。

ただし、薬の種類、行き先の州、学区の保険によって、細部は変わります。私たちは、お子さんの体調のことも含めて一緒に留学先を考えます。特定の学校を売り込むことはしません。「この子の場合はどうなるか」を、一緒に整理するところからで大丈夫です。相談は無料です。

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出典

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カナダ在住・カナダ高校留学エージェント歴20年(2006年創業)。2025年にカナダへ移住し、自身の子どもたちもカナダの学校に通っています。現地在住の立場から、費用・学校・生活の最新情報を直接お伝えします。

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