全寮制コラム

「朝、行けない」が丸一日の欠席にならない──学校への距離が遠い子に、全寮制という環境が向いている理由

水谷通孝

カナダ・ウィニペグ在住。カナダ高校留学エージェントとして20年以上の実績を持ち、自身の3人の子どもたちもカナダの学校に通っています。現地在住の立場から、費用・学校・生活の最新情報を直接お伝えします。

「朝になると、どうしても学校に行けない」。日本で、そんな朝が続いたお子さんを持つ親御さんは、少なくないと思います。本人もつらい。親も、どう声をかけていいか分からない。

今回カナダの全寮制高校を視察し、担当のスタッフの方とたくさん話す中で、「学校への距離が遠くなってしまった子にとって、全寮制という環境にはこういう強みがあるのか」と気づかされたことがありました。今日はそのお話をします。

日本でありがちな「朝つまずくと、丸一日休み」

公立校に通い、ホームステイから学校に通う形だと、こういうことが起こりがちです。

朝、起きられない。気持ちが重くて、家を出られない。「今日は休もうか」となる。そして一度休むと、翌日も、また次の日も……と、行きづらさが積み重なっていきます。

ポイントは、「学校に行く」というハードルが、一日に”朝の一回”しかないことです。その一回でつまずくと、その日はもう挽回できません。

視察して気づいた、全寮制の構造的な違い

全寮制では、この「一日一回の関門」が、まったく違う形になっていました。

視察したフルフォード・アカデミーで、スタッフの方が教えてくれた、ある一日の様子をご紹介します(日本で不登校気味だった子が入学して間もない時期の、よくある例だそうです)。

1時間目。教室に、その生徒の姿がありません。先生からすぐに、親身な日本人スタッフへ連絡が入ります。スタッフが部屋のドアをノックします。「大丈夫? 授業、出られそう?」「頭が痛くて……」「そう。じゃあ、もう少し休んでいていいよ」。

2時間目。まだ教室にいません。再びスタッフが声をかけます。「様子はどう? ランチは食べられそう?」「……」「じゃあ、ランチを食べてから、午後行けそうなら行ってみようか」。

そして午後。その生徒は、教室に姿を見せました。

最初のうちは、これを何度か繰り返すそうです。けれど次第に、教室へ行くことへの抵抗が薄れ、いつのまにか欠席がなくなっていく——スタッフの方は、そう話してくれました。

鍵は「一日に何度もある、やり直しのタイミング」

ここに、全寮制の構造的な強みがあります。

朝の一回でつまずいても、**2時間目がある。3時間目がある。ランチのあとがある。**一日のなかに、教室へ向かう”やり直し”のタイミングが、何度もあるのです。

しかも、学校と生活の場が近く、自室に一人で引きこもったままにはなりにくい。寄り添うスタッフが、こまめに様子を見て、無理のない一歩を一緒に探してくれる。

「今日はもう無理だ」と一日をあきらめてしまう前に、小さなチャンスが何度も差し出される。この積み重ねが、少しずつ「教室に行くのが当たり前」を取り戻していくのだと感じました。

「不登校の子だけのための環境」ではありません

こう書くと、「では、不登校ではない子には向かないの?」と思われるかもしれません。

そんなことはない、とスタッフの方は言っていました。教室への距離が少し遠いだけの子も、最初の1ヶ月ほどで環境に慣れていくそうです。

つまりこれは、特別な子のための特別な仕組みではありません。どんな子にとっても、「つまずいた時に、何度でも立て直せる」環境だということです。

大切なのは、お子さんに”合う環境”を選ぶこと

もちろん、すべてのお子さんに全寮制が必要なわけではありませんし、全寮制が万能なわけでもありません。学校への距離が遠くなる背景は一人ひとり違い、環境を変えれば必ず解決する、という単純な話でもありません。

それでも、もしお子さんが「朝の一回でつまずくと、丸一日休んでしまう」タイプなら、全寮制の”一日に何度もあるやり直し”という環境が、合っているかもしれません。(カナダの全寮制には、さまざまな学校があります。どんな学校があるかは全寮制(ボーディングスクール)の一覧でご覧いただけます。)

私たちが大切にしているのは、特定の学校をすすめることではなく、お子さんの今の状態に合う環境を、一緒に見つけることです。

なお、欠席が多い・不登校歴があっても留学は可能です。受け入れの仕組みや手続きについては欠席が多くてもカナダ高校留学はできる──条件付き入学という選択肢で、「カナダには”不登校”という概念がない」という文化の違いについてはカナダに「不登校」という言葉はないで、それぞれお話ししています。

最後に

お子さんの「学校への距離」は、一人ひとり違います。一般論ではなく、お子さんの状況をうかがいながら、合う環境を一緒に考えます。

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カナダ・ウィニペグ在住。カナダ高校留学エージェントとして20年以上の実績を持ち、自身の3人の子どもたちもカナダの学校に通っています。現地在住の立場から、費用・学校・生活の最新情報を直接お伝えします。

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